1999 SPRING vol.58
 国体の開催目的は、「広く国民の間にスポーツを普及し、健康増進と体力の向上ををはかり、併せて地方スポーツの振興と文化の発展に寄与すること」である。終戦直後の1946年(昭和21年)から開催された。スポーツの持つ明るさが、戦争で打ちひしがれた国民の心に夢と希望を与えてくれる、全ての国民を対象とした「体育・スポーツの祭典」が国体なのである。
 「若い力と感激に、燃えよ若人胸をはれ…」の言葉で始まる大会テーマソングは国民の士気を鼓舞し、全ての出場選手が実力を発揮しようと奮い立った。
 国体の主催は(財)日本体育協会(以下日体協)、文部省、開催地都道府県、競技団体および開催市町村。夏季、秋季、冬季の3大会からなり、46年の第1回大会は8月に夏季大会が兵庫県で、秋季大会が京都、大阪、滋賀、奈良、兵庫の各府県で、そして冬季大会が翌47年に青森県で開催された。特色は、この第1回大会以降も毎年開催され、開催地は各都道府県のもちまわりとなっていること。87年(昭和62年)の沖縄県開催で全国を一巡し、現在は二巡目に入っている。
 さらに、各競技は各都道府県の成績を得点合計し、総合優勝に天皇杯・皇后杯が授与される。天皇杯は冬季・夏季・秋季大会を通して実施した正式競技の男女総合成績第1位の都道府県に、皇后杯は女子総合成績第1位の都道府県にそれぞれ授与される。天皇・皇后両陛下は、毎年開会式に出席される。
 国体の開催は、全国規模のスポーツ振興に非常に役立った。まず、それまでスポーツにあまり関心の無かった人々の心を引きつけることができ、さらに地方都市には多数のスポーツ施設が作られ、地域の振興にも繋がっているのである。


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