2000 SPRING vol.61
■日本オープン ア・ラ・カルト-1■
幻に終わった賞牌
 かつて、日本オープンには好成績を残したアマチュアに与えられる賞牌がありました。ところが、手にできたアマチュアはだれ一人おらず、いつしか幻の賞牌と言われるようになったのです。

そもそもは、1933年当時JGA副会長だった大谷光明さんが、アマチュアの奮起を促す意味で、3位以内に入ったアマチュアに贈るために作られたものです。帝展無鑑査の斎藤素厳さんの図案で、ゴルフボールを口にくわえた麒麟が天を駈けるデザインでした。

 以降、毎年日本オープンの会場で展示されていたのですが、残念ながら受け取ることができた選手は現れず。いつしか、太平洋戦争のあおりを受けて、どこかに消えてしまったのです。これが幻と呼ばれる所以です。長い歴史を重ねてきた日本オープンならではのロマンチックな逸話の一つです。
アマチュアに与えられるはずだった幻の賞牌

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