2000 SPRING vol.61
 ご存じの通り、スポーツの中で税金が課せられているのはゴルフだけである。それも「担税力があるとの非合理的且つ時代錯誤的な理由」だけで、ゴルファーは消費税のほかにゴルフ場利用税も支払わなければならない。ちなみに'98年度にゴルファー(9603万2000人)が納めたゴルフ場利用税の総額は925億円にものぼっている。このゴルフ場利用税を撤廃するために、ゴルフ界ではサミット16団体が中心となって'98年よりゴルフ場利用税撤廃署名運動を実施してきた。'98年は3カ月で180万7209人が、'99年は2カ月で181万9456人が署名。この数字を見ても、撤廃運動がゴルファーに浸透してきたことは明らかである。
 これらの署名は集計後、関係各官庁・関係国会議員に対して陳情し、税制調査会の「平成12年度の税制改正」に盛り込むよう働きかけを行った。
 一方、'99年は国体でゴルフが初めて正式競技として採用され、真の「国民スポーツ」として認められた記念すべき年。これを契機に、日本全国でこれまで以上にゴルフを身近に感じる人々が増加することになろう。その時にゴルフ場利用税が足かせにならないようにするためにも、撤廃を実現したい。16団体は、今後もゴルファー一人ひとりの理解と協力を得るために、引き続き撤廃運動を強化する。
 数あるスポーツの中で、審判員の立ち会いがないのはゴルフだけ。ゴルフではプレーヤーが競技者と審判員を兼ね、プレーヤーは「故意に不正を犯すことはあり得ない」という信義関係によって成り立っている。 ゴルフルールとエチケットの普及を事業目標の一つに掲げているJGAでは、ルールブック「ゴルフ規則」のほか「図解ゴルフルール」、ビデオ「ラウンドレッスンゴルフルール」などを発刊・販売している。また、 2000年は4年に1度のルール改正の年であることからも、本年を機にゴルフ界をあげてルールとエチケットの徹底をはかっていく必要がある。
 '99年度のレジャー白書によれば、若者層のゴルフ離れが深刻化しているとの分析が発表された。別表の「性年代別余暇活動参加率」をみれば分かるように、'98年の10代・20代男性のゴルフ場利用率はそれぞれ1.1%、12.6%。これは5年前('94年)のほぼ半分の数字である。少子化問題とも重なって、ジュニアゴルファーをいかに取り込むかが今後のゴルフ界の大きな課題である。
●性年代別余暇活動参加率
(1999年レジャー白書より)
ゴルフ練習場(単位=%)
  10代男性 10代女性 20代男性 20代女性
1994年 10.8 6.1 31.7 16.4
1995年 8.1 5 21.4 14.1
1996年 6.9 5.7 23.7 15
1997年 5.8 1.6 17.5 11.7
1998年 5.4 0.8 19.1 8.7
 
ゴルフ場 (単位=%)
  10代男性 10代女性 20代男性 20代女性
1994年 1.6 0.7 20 5.4
1995年 1.5 0.8 16 4.4
1996年 1.8 -- 14.8 6.6
1997年 0.9 1.7 11.7 3.4
1998年 1.1 0.8 12.6 3.8
 各ゴルフ団体は、この傾向を早くから危惧し、様々な活動を行ってきたが、個々の活動では自ずと制約や限界があることから、ゴルフ界に統一された機関を組織することが提案された。そこでこの度、15団体が協力して「ジュニア育成協議会」を結成。統一されたシステム上でのジュニア育成を推進していくことになった。今後は同協議会を中心に各都道府県ゴルフ協会、JGA、各地区ゴルフ連盟などの活動を支援することも合わせて、ゴルフ界の底辺拡大に努めていく。
 ゴルフ場というと、これまでは環境破壊につながるというようなイメージが根強かった。しかし、「全ての人に愛されるスポーツ」を目指すゴルフは、これらの誤解を解くために、地球環境問題、とりわけ環境緑化・環境保全に積極的に取り組んでいることをアピールする必要があり、実際に活動も行っている。
 例えば、農薬問題では日本芝草研究開発機構を中心に、グリーンキーパーの資格制度を設け農薬の抑制と適正使用に努めたり、ゴルファーの緑化促進協力会では全国のゴルファーから集めた緑化協力金によって植樹も行ってきた。ゴルフ場が都市近郊の貴重な緑地であることを理解してもらうためにも、国土の緑化への貢献をより一層努めていきたいと考えている。
 以上が、2000年度の「ゴルフサミット会議」において発表された提言の主旨である。

 なお、ゴルフ界ではこれとあわせて、来年度に迫った「日本ゴルフ100年祭」にむけても、足並みを合わせて準備を進めている。2001年は、日本にゴルフが伝わってちょうど100年目。この100年の間に日本のゴルフは目覚ましい発展を遂げ、また21世紀に向け「国民スポーツ」として更なる成長が望まれる。具体的計画、ロゴマークは3月に発表予定で、現在は各種イベントの考案・検討段階に入っている。これら新たな活動にも期待していただきたい。
 また、その後行なわれたゴルフ新年会ではJGA後藤田正晴会長が「2000年はゴルフ界の変化の年。利用税撤廃運動、ジュニア育成などの課題に対して全力で取り組んでいく」と新年の挨拶をした。  今回発表された提言の推進、そして100年祭を成功させることがゴルフ界の目標だ。そのためにもゴルファーの皆さんにご理解・ご協力、そしてご支援をいただき、一致団結してゴルフを盛り上げていきたいと切望する次第である。

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