2000 OCTOBER vol.63
1960年の日本アマチュアゴルフ選手権にて。
オカフジ・タケオ(写真右)と
熱戦を繰り広げた(当時19歳)
──昨今の日本のアマチュア・ゴルフ。ジュニア層は世界ジュニア選手権などでも優勝したり毎年上位に入っているが、大学生になると、毎年やっている日米学生などを見てもやや苦戦状態。その人たちがプロの世界に進むと、もう全く歯が立たない。これはどうしてでしょう。

中部
 ひと口でいってしまえば、ゴルフ環境が原因でしょう。才能のある少年、少女たちがいても、それをサポートして存分に伸ばしてやる環境が日本にはない。よく“ゴルフはお金がかかるから、限られた人たちしか才能を伸ばせない”といわれてます。確かにお金はかかる。でも他のスポーツ、陸上競技や水泳だって、オリンピック大会でメダルを争う域に達するまでに成長させるには、膨大な経費が必要な時代になっている。その経費をどうやって捻出するかが関係者の課題だと思うんです。

──そういえばアマチュア競技の最高峰であるオリンピック大会も、ひと昔前とは大きくさま変わりし、オリンピック憲章からもアマチュアという字句が削除されてしまった。

中部 当然ですよ。私たちが若いころのオリンピック大会は“ミスター・アマチュア”といわれたA・ブランデージ会長が指揮をとっていた。ファンが見たがる有力選手が、ちょっとアマ規定に抵触する行為が発覚したからといって現地に入っている選手を直前に出場停止処分にしたり…。その一方で大会そのものはほとんどが赤字になっていた。
いまそのオリンピックはサマランチ会長がヘッド。彼のやり方は商業主義だとかなんとかと非難され、お金にまつわる不祥事も発生しているのは事実だけど、大会そのものは大きな黒字になり、毎回成功を収めている。大きなスポーツ・イベントを開催するには膨大な予算がいる。それをどうやってて調達するかです。
ゴルフも同じこと。アマチュアであれプロフェッショナルであれ、個人の技術を向上させ、才能を伸ばすには、まずお金が必要です。スポーツ・ゴルフの世界にはプロもアマチュアもない。いかにしてすぐれたプレーヤーに育てあげるか。それをその個人の努力だけに望みをつないで成長するのを待っていては間に合わない時代になってしまった。そのことを指導者たちが理解して、サポート体制を十分整えていかなくては、いいプレーヤーは生まれてこないのではないでしょうか。


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