2001 JUNE vol.66

 100年前、日本にゴルフが伝来した時に使われていたボールは、ゴム状樹脂製のガッタ・パーチャ。さらにハスケルボールへと移り、1930年代に入り糸巻きボールが登場した。

 また1936年、島田製作所がスチールシャフトを開発し、それまで使われていたヒッコリーシャフトに取って変わる。それ以降40年近くスチールシャフトの全盛期が続くが、1973年、カーボンシャフトが登場する。1年前にゴルフ業界に参入したダイワ精工が開発を手がけたのが国内メーカーとしては最初である。カーボン素材は用途が広く、1982年にカーボンヘッドのドライバーも登場する。また同年、ブリヂストンからツーピースボールがデビュー。それに伴ってヘッドの硬さが求められると、メタルヘッドが1980年代中盤から国内に浸透した。量産が難しいパーシモンに代わって金属素材をヘッドに使用することにより、大量生産が可能になった。80年代後半には、プロギアからカーボンヘッドのロングアイアンが生まれる。いわゆる“タラコ形状”のヘッドで鮮烈なインパクトをゴルファーに与えた。

 1990年に入ると、革命的な素材“チタン”が頭角を表す。世界初のチタンドライバーがミズノから登場したのだ。さらに1993年、颯爽とデビューを飾った服部セイコーのチタンドライバーがその後のドライバー開発に新たな道を作り出した。初の鍛造製法によるヘッドは、大型化(250j)とクラブの長尺化(45インチ)を実現し、さらに、スライスを撲滅するフックフェースを搭載した。この特殊なヘッド形状は当初、プロに敬遠されがちだったが、アマチュアゴルファーには瞬く間に浸透してゆく。そして、その打ちやすさの噂が広まると、プロも使用するようになった。従来、プロ仕様のクラブをアマチュアが追従していたのに対し、この時期以降、アマチュアからプロへという流れに逆転した。そして遂にヘッド素材の主流はチタンが占めることになる。1995年には、プロギアから270jのドライバーが生まれ、ヘッドの大型化が兆候を表す。さらに2年後の1997年、同社から今日のユーティリティクラブのブームが始まる元となるクラブが登場。クラブセッティングに革命を起こしたのだ。そして現在は、USGAが定めたフェース反発係数を上回るドライバーが続々と登場し、高い距離性能を謳い文句に、しのぎを削っている。今後も“より遠くへ、よりやさしく飛ばす”ことを求めて各メーカーは、ギアの開発に余念がない。

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