2002 JULY vol.70
 育成協議会がジュニア育成活動を検討する一方で、個々のゴルフ場やゴルフ団体でも、特色あるジュニア育成事業を展開している。ここではその一例として、神奈川県の戸塚カントリー倶楽部で実施されている「戸塚カントリー倶楽部ジュニアゴルフスクール」と(社)日本女子プロゴルフ協会(以下LPGA)が実施しているジュニア育成活動を紹介しよう。

 まずは「戸塚カントリー倶楽部ジュニアゴルフスクール」。始まりは1999年、(社)スポーツ産業団体連合会の「スポーツ産業としてのジュニア育成を含めたクラブ経営に関する調査」に基づいて企画された。トップアスリートを育てるスクールが多い中、このスクールはあくまでもゴルフ未経験のジュニアにゴルフ本来の楽しさを伝えるものとして誕生したのである。開催場所の提供として名乗りを上げたのが、伝統あるメンバーシップコース・戸塚CCだった。以来、戸塚CCは(1)ゴルフを楽しむきっかけ作り、(2)ゴルフ場の地域社会への貢献を目的として、年2〜3回の割合でスクールを開催している。対象となるのは地元横浜市在住の小学校高学年から高校生までで、毎回約30人の参加者を募集する。もちろん、参加費やレッスン料は無料だ。事前の告知にも力を入れており、ポスターの掲示はもちろんのこと、地元紙やスポーツ紙でも開催を告知している。その甲斐あって、毎回100人以上もの応募があるという。指導者はクラブ所属プロ、PGA、LPGA所属インストラクターが担当する。また、アシスタントは横浜商科大学高校のゴルフ部の生徒が、ボランティアとして手伝ってくれる。レッスンはマナーやルールの指導を重視して行われるが、実際に練習場やコースも使用する。クラブメンバーの協力を仰ぎ、スクール開催時は練習場をクローズする徹底ぶりだ。
 このスクールでは終了後にアンケート調査を実施している。過去4回のアンケート調査結果を見てみると、実に半数近く(45.5%)の参加者が「また戸塚で参加したい」と回答。さらに、「家の近くの練習場に行きたい」(28.4%)、「他のゴルフ場でも参加したい」(20.5%)と、9割以上が今後も積極的にゴルフと関わりたいという回答をしている。スクールの目的である「ゴルフを楽しむきっかけ作り」は、大いに成功しているといえよう。また、ボランティアの協力や用品メーカーの試打クラブの提供などを受け、既存の資産でスクールを実現できたこともひとつのポイントである。このスクールの成功例を糧として、今後、日本の各ゴルフ場でこのような活動が広がっていくことを望みたい。


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