2002 OCTOBER vol.71
女子アマチュア競技の発展
 1903年に誕生した神戸ゴルフ倶楽部は、発足以来ゴルフを愛好する女性ゴルファーで賑わった。同クラブに残されている史実を伝える写真には、男女同伴でプレーしているものが多い。婦人達はロングスカートの正装でクラブを振った。女性専用のクラブハウスがあり、そこにロッカールームも設置されていたという。女性を大切にする外国の習慣が生かされていた。

 この神戸GCでは1905年9月、日本で最初の婦人競技が開催されたが、残念ながら日本人の婦人ゴルファーはいなかった。1905年(明治38年)の日本政府は富国強兵を唱え、外国の知識導入に余念がなかった時代だ。

 その後、日本人の間でもゴルフを愛好する婦人が増えていった。そして1925年、日本人女性ゴルファーの倶楽部が誕生した。関西の先駆者、西村まささんを筆頭にして、ごく少ない人数ながら関西婦人ゴルフ倶楽部が設立され“女性ゴルファーの市民権”を得た。西村まささんは、神戸GCの婦人競技において日本人の女性ゴルファーとして初めて倶楽部の婦人選手権に優勝したことでも知られている。
 
 1925年、関東、関西の婦人ゴルファーによる対抗戦が始まった。提唱者はアメリカで本格的にゴルフを修得した三井栄子夫人だった。男子の東西対抗競技は、その2年後の1927年の創始である。婦人の対抗競技の方が2年も前に開催されていたのだから、当時から女性のゴルフは盛んだった。この対抗戦は1937年まで続いたが、戦時色が濃くなったことを理由に、翌年から開かれていない。


Back

Next
閉じる