2005 JULY vol.77

B: 「保有個人データ」の扱いはどうでしょう。
C: 例えば、ビジターの個人データがファイルされると別表3の義務が生じます。
A: やはり法律の話は難しいですね。規制緩和と言いつつ、これでは規制強化ではないですか。気軽に会員やお客さんからの問い合わせに答えられなくなりそうですね。
C: ええ、本当にそう思います。平成16年6月経済産業省は、「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」を示しました。
B: プライバシーマークの話も出ていますが。
C: プライバシーマーク制度は、(財)日本情報処理開発協会等が認証団体となっているもので、各企業がおこなう個人情報保護の内容について、適正な措置、管理体制が講じられていることを証明する制度です。認証の過程で、対策が不十分な点を発見できることもあります。
A: 私は細かいことはわかりません。要するに具体的にはどうすればいいのですか。
C: まずは、保有する個人情報等を必要最小限に絞って管理することが有益です。
B: ところでいちばん大事なのは、「漏洩防止対策」であって「保護法対策」ではない、とどこかの講演会で聞きましたが……。
C: まさにそのとおり。日本人の悪いクセで、マスコミが保護法全面施行で対策を報道すると、猫も杓子も「保護法対策」ばかりになってしまいます。その結果、「保護法対策」は完璧にされたが、情報は漏洩されたという奇妙なことが起こりやすいのです。
A: 手術は成功しても患者が死んでは本末転倒ですね。
C: 保護法の適用を受けないようにしても、実際に、顧客データが外部に漏れた場合、ゴルフ場の評判が低下することは避けられません。したがって、外部漏洩等の問題が発生しないように、社内規程を整備して、社内教育を実施して、保護法に違反しないゴルフ場運営を心がける必要があります。
B: 当ゴルフ場でも最近は、平日やニッパチ対策で、ダイレクトメールやEメールも使い始めたのですが、今後はやめた方がいいでしょうか。
C: いやそんなことはありません。きちんと保護法を守ってやればいいのです。
具体的には、会員やビジターから個人情報となるデータの提供を受けるときには、入会書類や利用申込書に、あらかじめ予想される利用目的を印刷しておくこと。そして、同意を受けた範囲内で、個人情報を利用するようにしておくこと。例えば、ビジターの利用申込書に、チェック欄を設けて、DMを今後送付しても良いか否か確認する等の措置が考えられます。インターネット予約をしている場合には、Eメール記入欄に、今後、同メール宛てにゴルフ場の案内を送っても良いか否かを確認するチェック欄を設けることが考えられます。
A: お疲れのところ、ご丁寧な説明ありがとうございました。当社でも情報管理を徹底し、サービスにつとめます。よろしくご指導ください。
参考文献
1. 松村昌人「ゴルフ場における個人情報保護法への対応」ゴルフマネジメント2004年11月号36頁これは筆者の属するさくら共同法律事務所所属の松村弁護士の手になるもので、同人の了解を得て本稿のベースにさせてもらった。
2. 熊谷信太郎「『個人情報保護法』を知っていますか」「続『個人情報保護法』を知っていますか」ゴルフ場セミナー2005年1月号38頁・2005年5月号42頁


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