JAPAN GOLF ASSOCIATION
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JGA ACADEMIC GOLF AWARD
受賞者作文
大学生の部
最優秀賞
「ゴルフと私」
川口 明浩 大阪学院大学4年
 私がゴルフと出会ったのは、小学五年生の時に叔父の畑仕事を手伝いに行ったことが始まりでした。叔父は以前からゴルフに熱心で、畑仕事の途中でもクラブを持ち出し、素振りをする程ゴルフが好きでした。そんな姿を見ていた私は、その頃からゴルフに興味を持ち始め、高校ではゴルフ部に入部しました。

 私は、幼い頃から体が小さくて、何をしても周りの友達から一歩遅れをとる事が多く、いつも悔しい思いをしていました。だから、私は「負けたくない」と、強く思うようになり、人一倍負けず嫌いな性格になったと思います。また、私の練習環境はあまり恵まれた方ではないと思うのですが、とにかく上手くなりたいという一念でがむしゃらに練習を積み重ねてきました。簡単に練習すると言ってもやはり、ゴルフにはお金が必要です。学費や試合の遠征費は大変な額になったと思うのですが、どんな時も家族は「頑張って来い」とだけ言い、試合に送り出してくれました。本当に大きな力で私を支えてくれたのでした。

 そして、大学へ進学させてもらいゴルフを続けていた、三回生の一月の出来事でした。私の父は以前から具合の悪かった右足の手術をすることになり、当初三ヶ月程で完治する予定が、良くならず二回目の手術を受けることになり、体力的に衰えていた父には、その手術は限界に近く、体は一気に弱り足が動かないストレスから食欲もなくなり、点滴を打つ毎日でした。五月のある日、病院で父が言った一言が今でも忘れられません。「もう病院から一生でられないだろう」と、昔は気の強かった父がこんな弱音を吐くとは考えられず、この時ばかりは、本当にショックでした。自分は父に何かしてあげられないだろうか。色々考えたが結局は、自分にはゴルフしかない、父が驚くぐらいの大きなタイトルを取ろうと思い、関西で一番の大会、関西アマチュア選手権に目標を絞りました。大会初日、クラブハウスで優勝カップを見た時、「これを父に持たしてあげられたら…」と思い、その試合に挑みました。一日消化するたびに優勝のプレッシャーを強く感じたが、「父にあのカップを」と思うと不思議に気持ちが落ち着き、驚くほど冷静に一打一打をこなして行くことができ、念願のタイトルを手にすることが出来ました。すごくうれしくて、その日の夜、優勝カップを病院まで持っていき、父に見せると、「よくやった。お父さんも頑張らなくては。」と言ってくれたのです。その日以来、父の体は回復に向かい二週間後には、食欲も戻り点滴は外されました。家族は私のゴルフが父への最高の薬になった。「最高の親孝行だ。」と言ってくれました。

 ゴルフは、私を大きく育ててくれました。昔は「ちび」とよく呼ばれ体の小さい自分に自信を持てなくなった時もありました。しかし、今ではこの小さな体が特徴になり「小さな巨人」と仲間から呼ばれ、誇りに思えるようにもなりました。そして形はどうであれ、親孝行が出来るきっかけまで与えてくれたゴルフは、大袈裟かもしれないですが、私の最高のパートナーだと考えています。
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