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第3章 プレーについての規則
◎ ゲーム
規則2 マッチプレー
処置についての疑問:紛議とクレーム
2-5/1
(保留)
2-5/2
有効なクレームとは
クレームを有効なものとするためには、クレーム申立者は相手に(1)クレームを出すこと、または裁定を求めたいこと、(2)クレームに関連のある事実関係を規則2-5で規定されている時限内に相手に告げなければならない。例えば、規則16-1eはパットの線の球の後方延長線を跨ぐようなスタンスをとってパットすることを禁止しているが、プレーヤーAとBのマッチプレーで、Aがパットの線の後方延長線を跨いだスタンスでパットしたところ、Bが「そんなことは許されてないので、このホールはあなたの負け」とか「そんなストロークは違反。クレームを申し立てます」と言った場合、委員会はBのクレームを取り上げるべきである。
一方、Bが「そのようなことが許されるかどうか私も自信はないが」とか「そんなことができるとは思わない」といったような発言だけでは、有効なクレームとはいえない。何故ならばこれらはどれもクレームの通知や裁定を求めたいこと、そして事実関係について何ら言及していないからである。
(1992年改訂、2004年小改訂、2012年小改訂)
2-5/3
ホールアウト前にプレーヤーが球を拾い上げたところ、相手は自分の球をピックアップして、そのホールの勝ちを主張
質問:
マッチプレーで、プレーヤーAの球は旗竿に寄りかかって止まっていたが「ホールに入った」(定義27)状態ではなかった。ところが、ホールアウトしたものと思ったAは球の位置をマークせずに自分の球を拾い上げた。規則20-1によりAは1打の罰を受けることになる訳であるが、Aは自分が罰を受けることに気付いておらず、したがって1打の罰を受けたことをBにも告げなかった。Aの行動を目撃していなかったBは、次のストロークを行った。そのあとでAの行動について知らされたBは、自分の球をピックアップして、「Aは自分の球を拾い上げたのでそのホールの負けとなる」と主張した。両人は取り敢えずマッチを継続し、あとでBのクレームについて委員会の裁定を受けるということで合意した。この場合、委員会はどのように裁定すべきか。
回答:
委員会は、そのホールはプレーヤーBの勝ちと裁定すべきであった。Bは、クレームするということ、あるいは裁定を求めたいこと(AとBはBのクレームを委員会へ持ち込むことに合意した)とクレームの発端となった事実関係(プレーヤーAが自分の球を拾い上げたこと)を相手に告げているので、Bのクレームは有効である。Aが球の位置をマークせずに球を拾い上げたことの罰は1打であるが、Bが次のストロークを行う前にAは自分が罰を受けていることをBに告げなかったので、その時点でAは誤報を与えたことによりそのホールの負けとなる(規則9-2b)。
(2000年改訂、2004年、2012年小改訂)
◎関連裁定:
*9-2/6 スコアについて誤報を与えられたため、ハーフとなるべき球を拾い上げる
*30/5 フォアボール・マッチで、誤解に基づく相手の示唆により、プレーヤーが自分の球を拾い上げる
*30-3f/3 フォアボール・マッチで、旗竿に寄りかかっている球をプレーヤーが拾い上げたためホールの勝ちが決まったと思い込んで、パートナーも相手もそれぞれ自分の球をピックアップする
2-5/4
クレーム時限後に、誤球のプレーを理由にホールとマッチの勝ちを主張
質問:
マッチプレーの最終ホールで、プレーヤーAとBはオールスクエアーであった。ラフからプレーしたAはそれが誤球であったことを次のストロークを行う前に発見したので、AとBはAの罰には何も触れないままAの球を探しに戻った。球は見つかり、Aはその球でホールアウトしてそのホールを勝ち、マッチにも勝った。数日後になって、Aが誤球をプレーした事実を理由にBは最終ホールの勝ちとマッチの勝ちを主張したが、Bのクレームは有効と認められるか。
回答:
認められない。プレーヤーAは自分が罰を受けたことをプレーヤーBに告げなかったので誤報をBに与えたことになる(規則9-2b(i)参照)が、次の2つの理由で、Bの後日になってのクレームは無効である……規則2-5参照。
①Bが知らなかった事実に基づくクレームではない。
②クレームが提起されたのは、マッチの結果の公表後である。
(2004年小改訂)
◎関連裁定:
*9-2/8 前のホールを勝ったが、誤球でホールアウトしていたことが次のホールで分かり、相手は前のホールの勝ちを主張
*30-3c/2 フォアボール・マッチで、プレーヤーがそのホールの勝ちを得てくれたものと思ってパートナーが自分の球をピックアップする(プレーヤーに誤球のプレーがあったことがあとで分かった場合)
*30-3c/3 フォアボール・マッチで、1ホールのプレー中に両サイドのプレーヤーが互いに球をとり違えてプレーしていたことが次のホールで分かる(それぞれのパートナーは球をピックアップしていたとき)
*30-3c/4 フォアボール・マッチで、プレーヤーがパートナーの球をプレー(相手サイドが次のストロークを行ったあとで誤りが発見された場合)
2-5/5
論拠のないクレームに対し、異議を申し立てなかった場合
質問:
マッチプレーで、プレーヤーAは誤球をパッティンググリーンに向けてプレーしたあとで、正球がホールの中に入っているのを見つけた。Aの正球は3打でホールに入っていて、プレーヤーBが費やした打数よりも少なかった。しかし、BがAの誤球のプレーを理由にそのホールの勝ちを主張したのに対し、Aは異議を申し立てなかった。結果として、Aはそのマッチに負けた。
後刻、Aは自分の球がホールに入った時点(しかも、それは誤球のプレー前である)でそのホールをホールアウトしたことになるから、誤球のプレーは勝敗とは無関係の話で、問題のホールは本当はAの勝ちであることを知り、委員会にクレームを申し立てた。Aのクレームは有効か。
回答:
プレーヤーAのクレームは認められない。AはBが次のティーインググラウンドからプレーする前に、Bの主張は論拠がないとしてはねつけなかったので、Bの主張が通り、Bは問題のホールで勝ったことになる……規則2-5参照。
◎関連裁定:
*2-4/10 スリーボール・マッチで、ホールをコンシードしたあとで1人が誤球をプレー
*2-4/11 球を紛失したと思ってホールを相手にコンシードしたところ、その球がホールインしていた場合
*9-2/11 相手が球の番号を読み違えたために、自分が誤球をプレーしたものと思いホールの勝ちを譲る
2-5/5.5
マッチの勝敗がついたあとで、クラブを15本持っていたことがマッチの結果の公表前に分かる
質問:
プレーヤーAとBのマッチで、14番ホールを終えたところでプレーヤーAが5アンド4でそのマッチに勝った。そのあとに残りホールをプレーしていたところ、16番ホール終了後に、Aが15本のクラブを持っていることが発見された。
プレーヤーBはマッチの結果が公式に発表される前にその事実を委員会へ報告し裁定を求めたが、Bのクレームは有効か。
回答:
プレーヤーBのクレームは有効である。クレームはプレーヤー両人ともマッチの最終ホールのパッティンググリーンを離れたあとで提起されているが、Bのクレームは、Bが知らなかった事実に基づくものであり、したがって、プレーヤーAから誤報を与えられていたものとみなされる(規則9-2b(i))。AとBは15番ホールへ戻ってマッチを再開しなければならない。Aは、規則4-4aにより罰を課せられ、3アップで4ホール・ツー・プレーということになる。
(1992年追加、2004年小改訂)
2-5/6
「マッチはオールスクエアー」と勘違いして、異議を申し立てることもなく延長戦に入る
質問:
マッチプレーで、プレーヤーAは規定の18ホールを終わった時点でプレーヤーBに1アップであったのに、双方ともマッチはオールスクエアーだと勘違いして延長戦に入り、20ホール目でBが勝った。そのあとで誤りが発見されたが、この場合、どのように裁定すべきか。
回答:
プレーヤーAは2人の内のどちらかが19番ホールのティーインググラウンドからプレーする前に、クレームを申し立てていないので、マッチはその時点でオールスクエアーとして取り扱わなければならない。したがって、Bが勝者である。
2-5/7
マッチに勝っているのに、勝ちを主張せずに延長戦に入る
質問:
マッチプレーで、プレーヤーAとBは17番ホールを終わってオールスクエアーであった。18番ホールを終わったとき、Bは7打、Aは6打と夫々自分のスコアを告げたので、両人ともマッチはAの勝ちに終わったと思って倶楽部ハウスに入った。ところが倶楽部ハウスに入ってから、Bが「よく考えてみると18番ホールでのAのスコアは7打であるように思う」と言うので、Aは、スコアを数え直した結果、たしかに7打だったと自分の誤りを認めた。
そこで、AとBは合意の上マッチを再開したところ、Aが20番ホールでマッチに勝ち、その旨掲示された。
その夜、Bは、Aが18番ホールを終えたときに誤報を与えているので、規則9-2b(iii)により18番ホールは自分の勝ちとなり、従ってマッチの正当な勝者は自分であったと気が付いた。そこでBは委員会にこのことを報告し、マッチは自分の勝ちだと主張した。この場合、どのように裁定すべきか。
回答:
マッチの結果は、プレーどおりプレーヤーAの勝ちである。
プレーヤーBは規則2-5の許容時限内にクレームを提起しなかった。しかし、仮にBが延長戦を断るか、もしくは委員会の裁定を仰ぐことを条件に延長戦に応じていたら、Bのクレームは認められていた筈である。
(2004年小改訂)
2-5/8
委員でもない者の間違った判定を、当事者が受け入れた場合
質問:
プレーヤーAとBの18ホールのマッチプレーで、Bの付き添っていた旗竿にAの球が当たった。両人ともどちらかがそのホールの負けになることは分かっていたが、どちらが負けになるのか確かでなかったので、次のホールのティーショットをする前に、委員会に後刻この事を報告して裁定を受けることに合意した。
18番ホールを終わったところで、AとBは、問題のホールでBが負けならマッチはオールスクエアー、逆にAの負けならマッチは2アップでBの勝ちになることを相互に確認した。そこで両人は委員でもないXに判定を求めたところ、Xは「問題のホールはBの負け、したがってマッチはオールスクエアーだ」と、間違ったアドバイスをした。
AとBはXの裁定を受け入れて延長戦を行い、Aが勝った。後刻、事件は委員会に報告された。委員会はどのように処置すべきであったか。
回答:
Xの間違った判定を受け入れた時点で両人は自分たちで疑問点を実質的に解明した訳であり、延長戦に入ったあとは、委員会はもはやクレームを取り上げる権利を持たない。マッチはプレーどおりプレーヤーAの勝ちである。
2-5/8.5
プレーヤーと相手が間違った処置に合意し、その処置を行った後のクレームは有効か
質問:
マッチプレーで、プレーヤーの球は舗装道路の上に止まった。舗装道路が障害物なのかコースと不可分の構築物として扱われるのかが分からなかった。プレーヤーは相手に尋ね、障害物として扱うべきだと合意した。プレーヤーは規則24-2bの処置に基づきドロップしてプレーした。次のティーからプレーする前に、委員会が道路はコースと不可分の構築物としてローカルルールで宣言していて、規則24-2bに基づく処置はできないことに、相手は気が付いた。
プレーヤーは許されないのに球を拾い上げリプレースしなかったことで規則18の違反となり、そのホールの負けとすべきであった。相手はこのホールをクレームできるか。
回答:
できない。委員会はクレームとして取り上げるべきではない。なぜならば、相手とプレーヤーは規則24-2bに基づき救済ができることに合意しているからである。この合意がなされたとき、もはや疑わしい点や争点はなく、クレームをするための規則2-5に基づく根拠はなかった。
プレーヤー双方ともその時点で正しく処置をしていると信じていたので規則1-3の違反とはならない。
(2004年追加)
◎関連裁定:
*1-3/5 双方とも罰が課せられることを知らなかった場合
*2-1/1 規則にそった処置が分からないため、そのホールはハーフとすることにする
2-5/9
ホールの勝ちをハーフと勘違いしていたことが分かり、クレーム時限後に異議を申し立てる
質問:
プレーヤーAとBのマッチプレーでの16番ホールで、Aのスコアは6、Bは5であった。パッティンググリーンを離れるときに、BはAに「ハーフだね」と言い、Aは、「そうだ」と答えた。
Aは20番ホールでマッチに勝ち、その旨掲示された。後刻、Bは16番ホールで本当は自分が勝っており、勘違いさえなかったら1アップでマッチに勝っていたことに気付いた。
Aも自分の勘違いを認めたので、Bはこのことを委員会に報告し、マッチの勝ちを主張した。この場合、Bのクレームは認められるか。
回答:
認められない。マッチはプレーどおりプレーヤーAの勝ちである。マッチ結果の掲示後は、Aが16番ホールでの自分の打数について故意に誤報を与えていた場合に限り、委員会はプレーヤーBのクレームを取り上げることができる……規則2-5参照。
◎関連裁定:
*9-2/12 マッチの状態を相手が誤解しているのを、意識的に訂正しなかった場合
2-5/10
間違ったことを言われてそれに従ったと、マッチ結果の公表後になってクレームを提起
質問:
マッチプレーで、プレーヤーAに反則があった。その反則に対する罰は1打であったが、相手のプレーヤーBがそのホールはAの負けと主張し、Aもそれに反論しなかった。結局、Bがそのマッチに勝ち、結果が公表された。3日後、Aは規則に関してBが自分に誤報を与えていたと委員会にクレームを提起した。この場合、どのように裁定すべきか。
回答:
マッチの結果に変更はない。規則2-5により、相手が故意に誤報を与えたのでない限り、マッチの結果が公式に発表されたあとはどのようなクレームも無効である。規則に関して間違ったことを言っても、それは誤報を与えたことにはならない。規則を知っておくことはプレーヤー自身の義務である。
◎関連裁定:
*9/1 規則について間違ったことを教える
2-5/11
最終ホールを終わったあとでの誤報を理由に、マッチ結果の発表後にクレームを提起
質問:
マッチプレーで、プレーヤーAとBはオールスクエアーで最終ホールを迎えたが、そのホールを終わったところで、Aは9打、Bは8打と夫々のスコアを告げた。Bが1アップでマッチに勝ち、マッチの結果は委員会によって記録された。数分後、ギャラリーの1人が「Bの最終ホールのスコアは9打だった」とAに告げた。Bはそのホールのプレーを振り返ってみて自分が間違っており、本当は9打であったことを認めた。この場合、どのように裁定すべきか。
回答:
マッチの結果に変更はなく、プレーヤーBの勝ちである。規則2-5に基づき、故意に誤報が与えられたのでない限り、マッチ結果の発表後はどのようなクレームも無効である。
2-5/12
次のティーインググラウンドからプレーしたあとで反則を知ったレフェリーが、プレーヤーに罰を課す
質問:
マッチプレーで、レフェリーがあるプレーヤーの反則を次のティーインググラウンドからマッチの当事者の1人がプレーするまで知らなかった場合、レフェリーは事実を知った時点でそのプレーヤーに反則の罰を課すことができるか。
回答:
罰を課すもととなったその事実を相手が知っていた場合を除き、レフェリーはプレーヤーに罰を課すことができる。
(1989年改訂)
2-5/13
ハンディキャップホールを間違えていたことが、数ホール後に分かる(クレーム時限後に提起されたクレームの取り扱い)
質問:
ハンディキャップ付きマッチプレーのスタート前に、プレーヤー両人は自分たちのハンディキャップを正しく互いに告げ合ったが、マッチの進行中にあるホールで、Aは、ハンディキャップストロークのないホールなのに、間違ってハンディキャップストロークを貰っていた。誤りは数ホール後になって発見された。この場合、相手のBは問題のホールは自分の勝ちだと主張できるか。
回答:
主張できない。プレーヤーBが知らなかった事実に基づくクレームであり、しかもBがプレーヤーAから誤報を与えられていた場合を除き、許容時限を過ぎてのクレームは無効である。質問のケースでは、Aはそのラウンドで自分に認められるハンディキャップストローク数についてBに誤報を与えていないし、反面、ハンディキャップストロークをどのホールで相手に与えねばならぬかを知っておくことは、Bの責任でもある(規則6-2注を参照)。したがって、問題のホールでの結果は変らない。
◎関連裁定:
*6-2a/3 ハンディキャップホールを勘違いしていたことを、そのホールの終了前に気付く
2-5/14
マッチの結果が公表されたとする時点
質問:
規則2-5は、マッチの結果が一度公表されたあとは、プレーヤーが故意に誤報を与えたのでなければ、委員会がクレームを取り上げることを禁止している。結果が公表されたとする時点はいつか。
回答:
マッチの結果が公表されたとする時点を決めるのは委員会の問題であり、競技の形式による。公式のスコアボードがある場合には規則2-5は、マッチの勝者の記録が公式のスコアボードに掲示されたときが、マッチの結果が正式に公表されたと解釈されるべきである。委員会により同行レフリーが指名されていた場合、最後のパッティンググリーン上でレフリーが行うマッチの結果についてのいかなる発表も正式公表とはならない。しかしながら、公式のスコアボードがない場合には、委員会はどの時点で正式に公表されたものとするかを明らかにすべきである。
公式スコアボードは、ある時は良く目立つ構造のものであったり、他の場合はゴルフショップやロッカールームで入手できる印刷物であったりする。委員会は一般にスコアボードに勝者の名前を記録する責任があるが、この責任をプレーヤーに課すときがある。
(2004年追加)
◎規則2-5に関連するその他の裁定:索引「クレームと罰」を参照
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