赤坂離宮内には、やがて西園寺の設計で4ホールのコースができ、これが殿下の練習場となった。さらに、大正11年(1922)には、東京・新宿御苑内に大谷光明の設計による9ホール、1736ヤード、ボギー(現在のパー)32の皇室専用コースがつくられた。殿下はその後、皇族方にもゴルフをすすめられ、大正13年のご成婚後は、妃殿下(故皇太后陛下)もクラブを握られた。 昭和5年(1930)かのウォルター・ヘーゲンがジョー・カークウッドとともに来日した時、この新宿御苑のコースで、すでに即位されていた天皇陛下に妙技を披露した。残念ながら、このコースは昭和7年ごろ、時局の悪化のため、取り壊された。皇居の吹上御苑内にも昭和3年秋、6ホールのコースが誕生(のち9ホール)、他に那須、葉山、沼津等の御用邸内にも2〜3ホールあったが、これらも戦争のためにつぶされてしまった。 また、昭和2年には関東のプロゴルファー第1号となった安田幸吉が相馬孟胤の依頼でドライバー2本を製作、天皇に献上している。 このように、ゴルフに親しまれた故昭和天皇だが、昭和12年(1937)、蘆溝橋事件をきっかけに、日中の戦端が開かれると、ぷっつりおやめになり、戦後も2度とクラブを握ることはなかった。 |