首位タイに4人が並ぶ混戦でスタートした最終ラウンド。
その中で見事に優勝の栄冠を勝ち取ったのが、今年グランドシニアデビューの宮辰夫だった。宮はこの優勝で自身の念願でもあった日本タイトル初戴冠となった。
1オーバーパーの首位タイでスタートした宮は1バーディ・3ボギーの74で回り通算3オーバーで後続を振り切った。アプローチとパターでしのいでの優勝と勝因を語る宮は、17番の左足下がりのライの悪い13ヤードからのアプローチを、柔らかい球筋でカップにぴたりとつけるなど、高い技術力を存分に発揮して要所要所をパーで切り抜けるゴルフを続けた結果の優勝だった。
「悪くなりかけた時にアプローチとパターで持ち直して切り抜けられた。先週のミッドシニアからの流れで、今週も難しいコースだったけど、我慢していれば何とかなるなと思ってやっていたら、その通りになりました。上がってみたら1打で。最後18番の2メートルの下りのパーパットもよく入ってくれた。1カップ切れるくらいの下りのスライスライン。あれが最終的に決定打になりましたね」とショートゲームで手繰り寄せた栄冠だった。
「本当に今は嬉しい。これが念願だった。過去に2位とか3位は沢山あったけど、やっとこの歳になってグランドシニアのデビュー戦で勝てたっていうのは本当に嬉しいですね。コースのコンディションもすごく良かったし、日本タイトルの試合通り、グリーンも仕上がっていたし、それに応えられるようにと思って、1打1打真剣にやった結果だと思いますね」と率直に今の嬉しさを表現し、初の栄冠の喜びをしみじみと感じていた。
「これでミッドシニア、グランドシニアも含めて関東でもすべてシードが取れたので、それに向けてやっていきたいですね、今年はいい年になりましたね」と、この1年を振り返りつつ、来年に向けての意気込みと確かな手ごたえを掴んだ様子だった。
「今年の試合はこれが最後。正月が明けるまで、しばらくは孫と一緒に遊んだり、女房孝行もしなくちゃいけないしね。すこしゆっくりして、来春に向けてやっていきたいですね」試合を終えて穏やかになった宮の表情には勝利の余韻が漂っていた。
1打を争う緊迫した試合展開となった今年の日本グランドシニアゴルフ選手権は幕を閉じた。
来年の本選手権会場の広島県の広島カンツリー倶楽部・八本松コースで再び相好を崩す宮の姿が見られることを期待したい。
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