2005 JULY vol.77

 ゴルフ規則が最初に成文化されたのは、今から250年以上も前のことです。当初のゴルフゲームはマッチプレーでしたから、ルールは他律規範であったと思われます。しかし、徐々にストロークプレーが多くなると規則の変更や追加が行われて、世界共通のものが必要となってきました。こういった背景から世界共通のゴルフ規則が生まれたわけですが、それは今から約50年前とつい最近のことです。しかも、用具やローカルルールも含めた世界共通の認識は、わずか10年前のことなのです。

 ハンディキャップの誕生もゴルフ規則と同様の道をたどっています。つまり、ゴルフゲームの始まりはマッチプレーでしたから、当初、ハンディキャップは両者の間だけのものとして決めればよかったのです。しかし、ストロークプレーが行われるようになり、競技者一人が他の全ての競技者と利害関係を持つようになりました。そこで、現在のような多くのプレーヤーとゴルフを楽しむためのハンディキャップが必要になったわけです。しかし、全員が納得できるハンディキャップを一人ひとりのプレーヤーが持つことは容易ではありません。では、各人に公平なハンディキャップは、どのような考えの下、生まれたのでしょう。

 たとえばゴルフプレーの規則の場合はどうでしょうか。歴史的に見ると、マッチプレーからはじまったゴルフが、ストロークプレーで楽しまれるようになるまでに、さまざまな障害があったわけですが、これを乗り越えるために2つの考え方がありました。

 ひとつは、「ゴルフは自律のゲーム」という哲学を持つこと。そして、もうひとつが規則に違反した時の調整の意味としての罰を「反則で得られる利益以上のもの」(USGA リチャード・タフト氏)として規定することです。こうして、ゴルフ規則は世界共通のルールとして、現在も存在するわけです。

 こういったことを踏まえると、現在のハンディキャップシステムには、最新ベストスコア5枚を採用する規定や、オーバーパーホールの足きりなどの規定がありますが、他の全ての競技者の納得が得られるという点では、プレー規則との整合はとれるのではないかと思います。

 しかし、まだまだハンディキャップに対するゴルファーの意識は高いものとは言えません。「ゴルフ規則は世界共通であるべきである」。これは、誰からも支持されることなのです。


Back

Next
閉じる