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+ 【2016年度(第81回)日本オープンゴルフ選手権プレイバック②】
[2020/08/02]
「2016年度(第81回)日本オープンゴルフ選手権」は、第2ラウンドを終えて、H・W・リューと李京勲が通算2アンダーパーの首位で並走しているものの、5打差の間に片山晋呉、小平智、池田勇太、小田龍一ら日本オープン歴代チャンピオンを含め20名がひしめく混戦となりました。
埼玉県入間市の狭山ゴルフ・クラブは、ナショナルオープンに向けたコースセッティングが施され、完璧な舞台に仕上げられています。
その舞台に役者が揃った第3ラウンドには10,000人、最終ラウンドには14,000人を超えるギャラリーが詰めかけ、選手たちのプレーに声を限りに声援をおくりました。その声援を背に、主役を演じきったのは松山英
樹。この後、WBC HSBCチャンピオンズも制し、年末には世界ランキング6位にまで順位を上げることになる松山英樹の快進撃のトリガーともなった本選手権。後編は、名実ともに世界トップの仲間入りを果たしていく松山のプレーを中心に、第3・第4ラウンドの模様を振り返ります。

ムービングデーの第3ラウンド。首位タイの李京勲が1アンダーパー、H・W・リューが1オーバーパーと足踏みの中、ともに首位と3打差8位タイでこの日を迎えたJGAナショナルチームのエースとして活躍した2人が驚異的なスコアでリーダーズボードを駆け上がった。
1人目は、2014年大会を制した池田勇太。8番を終えて1バーディ・2ボギーとスコアメイクに苦しんだが、9番でチップイン・バーディを決めて流れを掴む。10番から3ホール続けてバーディチャンスを逃しても、腐ること無く逆に集中力を研ぎ澄ませていく。13番で3.5メートルを沈めると、14番で2.5メートル、15番ではセカンドショットがピンを刺し50センチのパットを難なく決めて3連続バーディを奪取すると、17番でもスコアを伸ばしてこの日4アンダーパーをマーク。通算3アンダーパーで首位と1打差の2位に順位を上げて、「気負わず、焦らず、自分から流れを壊さないように。このままの調子なら」と2度目の戴冠に自信をのぞかせた。
その池田を上回るゴルフを見せたのが松山だった。傍から見るとナイスショットでも自分の手応えが悪ければ、ミスショットのような素振りを見せる繊細な感覚を持つ松山が、スタートから2ホールのティーショットで、「今日は上手く打てている」と感じるほどの好フィーリングで始まった第3ラウンド。2番でバーディを奪うと、9番から松山劇場の幕が開ける。このホールを皮切りに5連続バーディで一気にリーダーズボードを駆け上がってみせたのだ。特に13番(パー4)は、1オンを狙って放ったティーショットが深いラフに入り込むも、同じようなライから入念な素振りを繰り返し、イメージ通りのアプローチでバーディを奪取。続く14番はティーショットを右にミスして林の中に打ち込むも、グリーン手前のバンカーを狙ってスライスをかけて作戦通りにバンカーからのアプローチを寄せてパーをセーブ。USPGAツアーで鍛えたマネジメントと想像力、不断の努力で培ってきたパワーを遺憾なく発揮してみせた。
この日の松山は、ベストスコアの6バーディ・1ボギーの5アンダーパーでホールアウト。通算4アンダーパーで初戴冠に王手をかけた。

2016年大会の最終ラウンドは秋晴れの中でスタート。この年の日本一の男子ゴルファーが決まる瞬間をその目で見ようと、最終組の松山と池田がスタートする正午ごろには14,000人を超えるギャラリーが会場を埋め、メジャー大会しか出し得ない張り詰めた空気と熱気が各ホールを包み込んでいる。
1番ホール、先手を奪ったのは松山を1打差で追う池田。バーディ発進を決めて早くも松山と並走する。しかし、松山も負けじと2番でバーディを奪い返し、再び単独首位に。続く3番は松山がボギーに対し、池田がダブルボギーと両者の差は縮まらない。ホールが進むごとに緊迫度が増す最終組のプレーが大きく動いたのは6番ホールからだった。このホールで松山がバーディを奪うとボギーを挟んで連続バーディを奪い、パーを続ける池田との差を4ストロークに広げて、初優勝に大きく前進する。
後半、勝負どころのパッティングを決めきれない池田が1バーディ・1ボギーと思うように追撃しきれない中、16番でボギーを叩いた松山が、続く17番(パー3)で10メートルのバーディパットを「ラインには乗っていた。あとは距離感だけ」と繊細なタッチでねじ込むと、2度、3度と強く拳を握り、キャディとハイタッチ。普段、喜びの感情を表さない松山には珍しい光景は、日本オープン初優勝を確信した瞬間だったのだろう。
最終組で緊迫した熱戦を繰り広げた松山と池田。プレーの途中には、お互いがお互いのプレーを称賛していたという。両者が互いをリスペクトする気持ちが、この熱戦に清々しさをもたらしていた。最終18番。ウィニングパットの直前に、近隣の秋祭りを知らせる花火が鳴り、アドレスを仕切り直したものの、短いパーパットを外してしまったが、通算5アンダーパー。2位タイの李京勲と池田に3打差をつけての初優勝は、圧勝とも言える内容だった。
国内メジャー初優勝を決めた瞬間、はにかんだ松山だが、それもほんの一瞬だった。最後のパットを外した時、18番グリーンを取り囲んだ大ギャラリーは、ご愛嬌というように嬌声を上げたが、本人は全く別のことを考えていたという。「花火の音の影響があったとしても、あのパットを決めなければ、世界のメジャーでは勝てない。この優勝は、メジャーで勝つための通過点だと考えている。それにはまだまだ足りないことがたくさんある」と、自身が見据える未来に向けて、課題ばかりが浮き上がっていた。

松山がこの日本オープンで残した言葉がある。「ギャラリーの皆さんの声援は、ずっと聞こえていました。途中で、子供からのイーグルを獲ってという声も聞こえました。僕のプレーを見て、子どもたちがゴルフへの夢を持って欲しいなと思いながらプレーを続けていた」松山自身の未来に向けて戦い続ける姿を見て、自分の後を追う子どもたちが出てきてほしいという思いが募っているのだろう。印象的な姿がある。最終ラウンド、すべての優勝セレモニーが終わった後、夕闇の中で列を作って優勝者を待つゴルフファンの一人ひとりに、丁寧にサインをし、プレー中には決して見せることがない屈託のない柔和な表情で子どもたちに接している松山がいた。
松山のプレーは、彼が世界を戦い培ってきた技術と経験を存分に日本のゴルフファンに見せてくれた。そして、松山のプレーで胸を熱くした子どもたちが、きっとこれからの日本ゴルフ界から世界に羽ばたいてくれるのだろう。そんな期待を抱かずにはいられない日本オープンが秋の終わりとともに幕を閉じた。

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