高山忠洋が第3日を終えて8アンダーパーの11位タイと踏ん張っている。
「中心性漿液性脈絡網膜症」という難しい名前の病状で戦列を離れたのが2018年の夏。症状は「物が歪んで見える」というもので、平坦なはずのグリーンでも起伏があるように見えたという。原因は不明でゴルフにならず、公傷扱いを申請して認められた。いくつかの病院を渡り歩いたものの、適切な治療、手術を引き受けてくれるところには巡り合わなかった。ようやく施術してくれる病院が見つかり、暮れに手術を受けた。その後は運動をさけて養成するように教えられ、ゴルフからは半年以上離れ、クラブも握らなかったという。
1978年2月生まれの43歳。20
02年に初シードを取得してから2017年まで、そのシードを守り続けてきた。公傷制度が適用されて戦列に戻ったのが2020年。しかし、コロナ禍で中止になるトーナメントが続き、今年春のアジアパシフィックダイヤモンドカップまでの9試合でシード権を守るための賞金を稼ぎださなければならなかった。ダイヤモンドカップが最後のチャンスだったのだが、2日間で7オーバーパーを叩いて予選落ち。シード権維持にはわずか57万910円足らなかった。
ここでいったんシードは途切れ、残りのシーズンは、予選会へのチャレンジや主催者推薦をもらっての出場を余儀なくされた。といっても、出場できる試合での獲得賞金次第で、2022年シーズンへのシード権が復活する。日本オープンには主催者特別承認での出場だった。
「いただいたチャンスを無駄にはできない。できるだけ上位に入って獲得賞金を加算させなければ…」。日本オープンまでに出場できた日本プロゴルフ選手権やフジサンケイクラシックでトップ10入りを果たしたことで、ここまで1480万円余を獲得し、現在ランキング45位。シーズン終了時点で65位以内なら、いったん途切れたシード権が復活する。
今シーズンのシード当確ラインは1500万円と見られている。第1日、第2日とも67をマークして8アンダーパーと上位をキープした高山だったが、第3日はパープレーの71と、ちょっと足踏み状態だった。それでも「ゴルフの調子、ショットの調子ともに悪くはないので、もうひと踏ん張りしたい」という高山は、第3日を終えて11位タイにつけている。同スコアに星野陸也、清水大成、香妻陣一郎ら6選手がいる。
「とりあえず、この団子状態から抜け出せるようにスコアを伸ばしたいですね」。ちなみに、順位がひとつ上がって10位になれば399万円獲得で想定ラインを楽にクリアできる。ベテランには奮起せざるを得ない大きな理由がある。
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