2000 DECEMBER vol.64
 大会2日目。朝5時にボランティアは集合。しかし、ほとんどの人たちはそれよりも早くやってくる。昨日の思わぬ好スコアが彼らをそうさせていた。
 在原さんはいつも通りにグリーンをチェック。グリーンの硬さを示すコンパクションは徐々に上がり、グリーンは確実に硬くなっているということを表していた。そして空を見上げると、鷹之台の冬の代名詞でもある“北風”が吹いている。
 「いいぞ、もっと吹け!予想通りになってきたぞ。アゲインストの風になれば4アンダーなんてスコアは出ない。この分なら最終日までスコアは伸びないぞ」と在原さんは力強く言った。
 第1組目がスタート。風、グリーンの硬さとラフによって、初日とは全く違ったコースになっていた。

 在原さんの予想は的中した。トップの選手をはじめとするほとんどの選手から、練習ラウンドや初日に見られた余裕はもはや消えていた。在原さん、ボランティアたちが仕掛けた“罠”は選手たちを苦しめはじめた。完璧なティショットとセカンドショットが要求される、いわゆる『日本オープンセッティング』が全容を浮かび上がらせてきた。

 「明日はもっと厳しくなる。これからが本番だよ」と、在原さんは笑った。その意味は3日目から選手が身を持って体験することになる。


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