Championship Reports競技報告

初戴冠の中澤瑠来 ノンプレッシャーで戦い抜いた18ホール

写真:Y.Watanabe / Y.Kawatani

通算8アンダーパーで逃げ切り優勝を果たした中澤瑠来。本選手権に限らず、日本タイトルを獲得したのは初めてだ。ラウンド中は余計なことは考えず、勝利の実感がわいたのは仲間たちからウォーターシャワーを浴びた瞬間だったという。

「最後まで自分の順位についてはまったく理解していませんでした。もしも、2位と1打差だと知っていたら、17番(パー4)のパーパット(4メートル)も入らなかったでしょうし、18番(パー4)も普通にプレーできなかったかもしれません」。ちなみに、18番では第2打をピン右上2.5メートルにつけ、楽にパーを奪っている。まずはノンプレッシャーで戦えたのが第一の勝因だろう。

中澤にとってのピンチはむしろ第2ラウンドにあった。スタート前に暑さの影響で気持ち悪さや頭がボーッとした症状に襲われたのだ。スタート時間直前までクラブハウス内で体を休め、フラフラな状態でティーショットを放ったほどだ。当初、周囲からは棄権を勧める声もあったが、首位タイという好位置にいただけに、無理をしてでもプレーすることを選択した。

結局、18ホールを回り切ったが、スコアは75と崩れた。それでも、第3ラウンドに69をマークして再び首位タイに浮上。あわや棄権のピンチを乗り越えただけに、最終ラウンドは優勝に対する気負いもなく、「いつもどおりのラウンドをしようという気持で準備してスタートしました」と、楽な気持ちでプレーすることを優先し、ラウンド中には笑顔も見せた。笑う門には福が来るのだろうか。中澤に早々とラッキーが訪れる。

4番ホールでティーショットを大きく右に曲げると、ボールは側溝の上にある網の上に。側溝は動かせない障害物としての扱いとなり、ボールをドロップできる。問題はニアレストポイントが側溝の右になるか、左になるかだ。目の前に大きな木がせり出していたため、ドロップ位置でグリーンを狙えるかどうかが決まる。側溝の右なら横に出すだけ、左なら低い球でグリーンを狙える。競技委員を呼び、判断して計測してもらった結果、わずかな差で側溝の左にドロップできた。

中澤にとって大きな課題はメンタル面だった。「ミスショットをするとついイラっとしちゃうんですよね。最終ラウンドはそうならないように気をつけました」。さらに、これまでは攻撃的なゴルフを身上としていたが、今大会ではたとえグリーンを外しても、アプローチしやすいところに落とせばいいという考え方に変わった。だからこそ、4番の第2打でも無理はしなかった。「グリーン左サイドしか狙えない状況でしたが、右サイドのピンに対してスライスをかけて寄せようとは考えず、とりあえず左サイドに乗ればいいという気持で打ったんです」。ピンまで残り150ヤードあったが、6番アイアンを選択する。枝の下を抜けるように低い球を放つと、グリーン左サイドをキャッチした。ピンまで残り20メートルあったが、なんとそれを沈めてバーディを奪う。3番ホールでボギーを叩いていただけに、大きな1打となった。

「気持ち的にも流れ的にも大きく変わった1打でしたし、冷静にマネジメントできたことには成長を感じました」。その後も無理をしない攻め方を心がけた結果、通算8アンダーパーまでスコアを伸ばすことができた。「素直にうれしいですし、優勝をきっかけに自分も変わりたいと思います」。今大会の優勝で日本女子オープン(10月2~5日、兵庫県・チェリーヒルズゴルフクラブ)の出場権を獲得。女子プロテストも最終ステージから受験できる。現在は東松山カントリークラブで研修生として業務や練習に励んでいる中澤だが、秋のビッグイベントに向けてさらに腕を磨くつもりだ。

?evid=11647526909692136421

競技メニュー

  • ハンディキャップインデックス査定システム J-sysとは
  • JGA個人会員募集
  • 世界アマチュアゴルフランキング
  • JGA主催オープン競技ロゴダウンロード
  • もっと知りたい、ゴルフのこと GOLFPEDIA
  • CLEAN SPORT Athlete Site クリーンスポーツ・アスリートサイト JADA
  • アスリートの盗撮・写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行動です。
  • JOCオリンピック選手強化寄付プログラム
  • 日本ゴルフサミット会議
  • その道のりに、賞賛を STOP誹謗中傷