Championship Reports競技報告
Championship Reports競技報告
競技報告:Y.Koseki 写真:Y.Watanabe / S.Osawa
第3ラウンドを終えてトップ、それも2位に6打の大差をつけてトーナメントリーダーになったのは、2024年度からJGAナショナルチームでも活動する佐藤快斗(東北福祉大学2年)だ。今日の佐藤は1イーグル・7バーディ・1ボギーの62(8アンダーパー)。62ストロークは、パー70設定のコースで開催された本選手権では、記録が残るなかでは大会のベストスコア。大会史に残る快記録である。これには本人も「64とかはありましたけど、63以下は試合ではあまりなかったので良かったです」と満足気。
その佐藤だが、不思議なことに全国規模の競技ではこれまで無冠だった。JGTOのレギュラーツアー競技では、「カシオワールドオープン2022」の16位タイを始め、何度か「ローアマ」のタイトルを獲得するも、アマチュア競技の優勝は2023年の「トヨタジュニアゴルフワールドカップ」のみ。その一方で、日本オープンのローアマチュアは昨年、タイトルを目前に、後半スコアを大きく崩し(後半の9ホールで、3ダブルボギー・1ボギーの42ストローク)、悔し涙を流している。そして、本選手権も2022年から4年連続の出場だが、過去最高は昨年の10位タイどまり。それだけに「いつもいいとこまで行ってダメなので、こういう大きな試合で一度優勝したいと思っています」と胸の内を明かす。
その絶好のチャンスを築いた今日のプレーの内容については「ティーショットは、悪いショットもあったんですけど、フェアウェイに行ったホールはショットで3から4メートルにつけて決め切れましたし、短いアプローチもウェッジで1ピン以内につけて、それも決まって(カップに沈めて)ました。パッティングのタッチもあっていましたし……」と振り返る。例えば、タフなホールの10番パー4(第3ラウンドの難易度3番目)でこの日唯一のボギーを喫したのだが、直後の11番(パー4)で、グリーン手前からホールまで打ち上げの15メートルほどをチップインでバウンスバック。「あのホールを落としていたら、今日は危なかったと思います」として、ショットとアプローチの冴えによる「62」だったと語る。
今大会の佐藤は、最初はショットに不安を感じていた。だがそれは、昨日のラウンド後の練習のなかで、「ティーショットはあまり変わらなかったですけど、アイアンは段々良くなってきて、リズムもタイミングも合ってきました。それで、昨日まではパーオンを外したところもしっかりとらえることができようになり、それで流れが良くなったと思います」という。
結果、明日は2位に6打差で迎えるが、「あまりそういう経験ないので、とりあえずいつも通りやっていけばいいのかな。気負わずに、今夜やることをちゃんとやって、自信もって明日を迎えたいです」と人懐っこい笑顔。「今夜やること」とはと聞くと、「ちょっとパター練習やって、ストレッチ、そして今日の振り返りと明日やることを決めてから寝ます。明日やることを決めるのは、昔はただ頭の中でやっていたんですが、最近はメモを取る(筆記する)ようになって、それが良いみたいです。JGAナショナルチームの合宿で、今日一緒にラウンドした(長﨑)大星がやっていると聞いて、僕もやろうと始めました」
メモする内容には、コースマネジメントも含まれる。その成果だろう。第3ラウンドまで、佐藤のスコアカードに刻まれたボギーの数はわずかに4つ。上位選手(トップ10の10選手)のなかでは最少だ。「極力、ボギーを打たないこと」は、本選手権のコースセッティングとホールロケーションも担当する内藤正幸競技委員が「優勝のキー」に挙げたポイントである。
「明日も今日みたいに、マネジメントをしっかりしてやっていきたいです」と語る佐藤。徐々に自信を深めたショットに加え、マネジメントの強化。初のビッグタイトルを前に、佐藤には何か落とし穴があるのだろうか?
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