Championship Reports競技報告
Championship Reports競技報告

これまで何度となく優勝を逃してきた西下裕美。首位とは1打差を追いかけるポジションは自分のゴルフに集中できる格好のポジションで、最後まで自分のゴルフをやり切ったことで優勝を呼び込んだ。
「最終ラウンドをトップで迎えた経験もあるんですが、トップとなるとやっぱり優勝を意識してしまうんです。追いかける立場でしたが、優勝のことは全く考えずに、今日はとにかく自分ができるゴルフをやり切ることだけを考えていました」。
最終ラウンド最終組でのラウンド。西下のマーカーは単独首位でこの日を迎えた鈴木智子。西下はマーカーのスコア以外は一切頭に入れずにプレーするスタイルだが、唯一鈴木のスコアだけは目にしていたわけだ。そして、鈴木はスタートホールから2連続ボギーを叩くなど、優勝へのプレッシャーと戦っていた。そんな鈴木の様子を見ることで、やはり優勝を意識しながらプレーすることの難しさを西下は改めて確認したのかもしれない。
「優勝は意識しない」
それは勝ちたくない、負けてもいいという意味ではない。なぜなら西下は本選手権に誰よりも勝ちたいと熱望しているからだ。2023年の本選手権の会場は西下の所属コースの小野ゴルフ倶楽部。最終ラウンドを首位と3打差でスタートして、ハーフターンの段階で暫定首位に立っていた。ただ、不運にも天候悪化で競技は中止となってしまった。
「天候なのでどうしようもないことはわかっているんですが、自分のせいじゃないということも悔しかったんです。あそこで勝ちたかったという思いはやっぱりありました」。
多くの声援を倶楽部から受け、多くの人が期待してくれていたことをわかっていただけに、悔し涙が止まらなかった。
あの惜敗からいつか本選手権で勝ちたいという気持ちは一層強まったわけだが、リベンジといった類ではなく、頑張っていればいつか勝つチャンスが訪れるだろう。そう心にそっと思い続けていた。
西下が優勝スピーチで語ったのは、支え続けてくれる周りの人たちへの感謝の気持ちだ。自分だけではゴルフを続けることすら難しく、競技に出るとなると技術の鍛錬に時間を割く必要もある。所属コースの小野ゴルフ倶楽部の方々やゴルフ仲間、そして家族に支えられて今の自分がある。
今回は西下が大事にしているそんな人達への最高の恩返しになったことだろう。
悔し涙を嬉し涙に変えた西下のさらなる活躍に期待したい。

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