Championship Reports競技報告
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混戦を制するにはスタートダッシュが肝心だ。最終ラウンドを首位タイでスタートした城本成男は、4番、5番ホールで連続バーディを奪う。この時点で単独首位に躍り出たが、城本自身はそのことを知らない。「先のことを考えたらゴルフにならないと思ったので、目の前のホールに対してどうやって攻略しようかなと集中していました」。バーディはあくまでもその結果であり、次のホールのティーイングエリアに立った時には、すでに攻略法で頭が一杯だった。ただ、攻略法に集中できたのは、ショットの調子が良かったからでもある。
「ドライバーも悪くはありませんでしたが、アイアンショットは最終ラウンドも好調でした。昨日はグリーンを1回しか外しませんでしたが、今日も2回外しただけです」。パーオン率は驚異の96.67パーセントだ。これなら狙ったところにボールを落とす確率も高くなるというもの。実は、大会の1カ月ほど前から練習量を増やしたという。「自分でも驚くぐらい練習していましたね。ほぼ毎日クラブを握っていたと思います」。その甲斐あって、ショット力は上がったが、最も練習したのは100ヤード以内の距離だという。「ロングアイアンやミドルアイアンでの練習をそこそこに、100ヤード以下の距離を練習していました」。もちろん、その中にはアプローチやバンカーショット、パッティングも含まれる。今大会では大きなアンジュレーションを持つ高速グリーンに悩まされた選手は多かったが、城本がグリーンやコースに対応できたのは練習による裏付けがあったからだろう。

8番(パー4)でボギーを叩いたものの、前半を35で回った城本。「昨日の1オーバーパーを取り戻せてよかったと思いました」と、この時点でも優勝に対しては無欲だった。後半のスタートとなった10番(パー4)ではいきなりバーディを奪い、再びアンダーパーの領域に入ったが、16番(パー4)でボギーを叩き、最終的に通算イーブンパーでホールアウトした。

「5位以内に入れればいいと思っていましたが、まさか優勝するとは思ってもみなかったです」。ホールアウト後のアテスト会場で初めて自分が1位だったことを知った。うれしい気持ちはもちろんあったが、逆に心臓のドキドキがしばらく止まらなかったという。本選手権には初出場にして初優勝を飾ったが、時間が経つにつれ、日本一の重さをより大きく感じたのかもしれない。
「いい意味で知名度は上がりますが、その分下手なゴルフはできないかなと。それがしんどいかなと思います」。JGA主催競技では初のタイトル獲得となった城本。大願成就に満面の笑みを浮かべていた。
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