Championship Reports競技報告
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まさにベテランの妙味といったところだろうか。出だしの11、12番で連続ボギーを叩いた引地理策(日清都CC)が、後半の4番(パー3)、5番で連続バーディを奪い、72でホールアウトした。「自分の調子を考えれば最高の出来だと思いますが、パッティングがもうちょっと良ければアンダーパーで回れていた感じもあります」と振り返った。
確かに、2つのボギーはどちらも3パットをしたのが原因であり、しかも1メートルぐらいのパーパットを外したという。また、ほかにもバーディチャンスがあり、それをものにできなかったことを考えれば、パット次第では十分アンダーパーの世界に入っていただろう。
逆にいえば、それだけショットが好調だったといえる。「昨日まではよくなかったんですが、今朝の練習で調子を取り戻しました」。聞けば、打ち急いでいたことがミスショットにつながっていると思い、バックスウィングの途中でひと呼吸置くことを意識した結果、距離感も方向性も良くなったという。奪ったバーディの1つは2.5メートルを沈めたものだが、もう1つは30センチにつけたものだ。やはり、ショットの好調さがパープレーを呼び込んだといえる。
2003年に日本シニアオープンゴルフ選手権ローアマチュアのタイトルを獲得したが、以来、日本タイトルとは縁遠くなっている。「2位とか5位以内が多いんですよね。今回はチャンスがあれば、ぜひ取りたいです」と、首位と1打差の2位タイという好位置を逃すつもりはない。

ベテランの引地とは違い、本選手権は初出場でありながら、72の好スコアをマークしたのが林建治(和倉GC)だ。仕事の都合で練習ラウンドができず、ぶっつけ本番で臨んだが、逆にそれが良かったという。「コースを知らなかったことで、狭いホールでもしっかりと振り切ることができたと思います」。ボールのところへ行ってみたら、もう少しでトラブルになっていたホールもあったという。思い切りのよさは、パー5でも発揮された。
前半の7番(パー5)では、ピンまで残り205ヤードから7番ウッドで2オンに成功。約10メートルのパットをしっかりと寄せてバーディを奪った。この日は3バーデ・3ボギーだったが、「長いバーディパットが入ってくれたのもありますし、ラッキーだったと思います」と謙遜する。ただ、ラッキーだけで好スコアをマークできるはずもない。石川県在住の林だが、昨年の1月1日に起こった能登半島地震の影響で、ホームコースである和倉GCがしばらくの間クローズとなっていた。その間、他のコースに出向くしかなかったが、年間100ラウンドはこなしたという。いろんなコースを回ったことで、今回のようにぶっつけ本番でも対応できたといえる。
「今の自分にとって、ゴルフしか楽しみはないので、明日は優勝とか考えずに、楽しませてもらうだけです」と、無欲で明日の最終ラウンドに臨む。
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