Championship Reports競技報告
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圧勝とはまさにこのことなのだろう。
3年前に豊島豊(箱根CC)が6打差をつけて優勝、さらに20年以上前に今はシニアツアーでプロフェッショナルとして活躍中の田村尚之が2年連続で7打差をつけて連覇を達成したが、それを上回る8打差をつけて山下大介(長崎CC)が初優勝を飾った。それも3日間通算10アンダーパーの大会最少アンダーパー優勝記録も更新しての圧倒的な強さだった。
「正直アマチュアなので、なにが起こるか分からない。5打差なんてあってないようなものだと思ってやっていました」後続に5打差をつけてスタートした最終ラウンド。「先にバーディが来て楽になった」と3番で4メートルのバーディパットで早速スコアを伸ばすと、続く4番でもグリーンエッジ約10メートルからの距離のパットが入り、通算9アンダーパーとした。その後は、6番でボギーを叩いた以外はパープレーで後半へ。10番、14番でバーディ、17番のパー3でボギーを叩いたが、それも想定内。「17番でやらかすと思っていたので、16番ホールまでに貯金を作る気持ちでした」と大差のリードは変わらず、最後の18番でこの日5つ目のバーディを奪い、自身で優勝に花を添えた。
今週のプレーを支えたのはパッティング。「タッチが冴えていました。ピンチらしいピンチがほぼなかった」と胸を張る。3日間で本格的なピンチは第1ラウンドのスタートホールで打ったティーショットのみ。「そこから先の53ホールはピンチなしでした」と、改めてその強さが際立った。
最終ラウンドもアンダーパーで回ったのは山下を入れて6名、54ホールをアンダーパーで終えたのも山下と2位の平野の2人だけと多くの選手が滝の宮カントリークラブの攻略に難儀した。「コースの距離がちょうど良かったです。僕より飛ぶ人はティーショットで刻まないといけないですが、僕はほとんどドライバー。刻んだのは7番のパー4だけ。だからロケーションも回りやすかった」と自身プレーとあったコースセッティングも勝利を後押しした。

前日には「ほどよい緊張感で臨みたい」と話していたが、この日は「最後(18番)のバーディパット以外は結構リラックスできていた」と振り返る。そのパットの距離は70から80センチの下り傾斜のフックライン。「そこだけは緊張しました」と苦笑いした。
大学時代の九州学生ゴルフ選手権以来となる大きな大会での優勝。社会人になり仕事に追われ、2016年に「忙しいのに試合に出ても上手くいかないと思った」と1度競技から離れた。2022年に復帰し、今年行われた九州ミッドアマチュアゴルフ選手権で7位タイの成績を修め、昨年に続く3度目の本選手権出場。「誰も僕が勝つなんて想像していなかったと思います。自分が一番びっくりしていますから」多くの実力者がひしめく中、3日間首位を堅守し、大差をつけての完全優勝。今回の優勝で一気に名は広がっただろう。
来年はディフェンディングチャンピオンとして「2連覇を狙いたい」と意気込む。取材中、彼の手元にあったスマートフォンが頻繁に鳴り続けた。前日20日は35歳の誕生日に続き、たくさんの祝福のメッセージが届いただろう。

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