Championship Reports競技報告

唯一4日間とも60台のMinsu Kimが2位以下に5打の大差をつけ、韓国選手として18年ぶりの制覇

競技報告:Y.Koeki  写真:Y.Watanabe / S.Osawa

やや強い、まともなアゲインストの風が吹きつける1番ティーイングエリア。Minsu Kimのティーオフショットは見守るギャラリーや選手、関係者のどよめきを誘いながら、高い弾道で空気を切り裂き、300ヤード先のフェアウェイセンターに着弾した。 
その圧巻のドライバーショットに、誰からともなく、「(ナショナルチームメンバーの)松山茉生と同じ組でプレーさせたかったね」という声があがった。松山は本選手権の2年前のチャンピオンで、Kimと同じ2008年生まれで、同じく300ヤードを優に超えるビッグドライブの持ち主だ。日韓の飛ばし屋の競演は、さぞかし見ごたえがあっただろう。

しかし、後半の2日間をKimと同じ組でラウンドし、5位に入賞した亥飼陽(いがい・ひなた)は「ドライバーの飛距離よりもアイアンショットの技術の高さに目がいきました。ラフからでもグリーンを外すことがほぼなかった」と証言する。
そのアイアンの精度が成せる数字だろう。彼が4日間、72ホールで喫したボギーは第2ラウンドの3番ホールでの1個だけ。圧倒的な少なさだ。「330ヤードドライブ」という触れ込みのパワーにばかり気を取られたが、どうやらそれだけが彼の持ち味ではなかったようだ。

「去年のこの選手権は8位だったのですが、優勝した選手(佐藤快斗)と僕のデータを比較してみました。バーディの数はほぼ同じだったんですが、ボギーの数は僕のほうがずっと多いことが分かり、それでボギーをしちゃいけないんだと思いました」とKim。
調べてみると、昨年265ストロークで優勝した佐藤快斗のバーディとイーグルの合計数は20。一方、ボギーの数は6。対して、275ストロークで8位のKimは、前者は19とほぼ変わらないのだが、ボギー数は15。佐藤に大きく劣っていた。そして、この経験がKimのゴルフを今のスタイルに変えたという。

韓国ナショナルチーム監督として今回Kimに帯同するHyung-Tae Kim(HT キム・金亨泰、1999年の本選手権2位)によれば、大会前日の指定練習日、Kimはアプローチショットの練習ばかりを延々と続けていたそうだ。結果、Kimは全選手中唯一、4日間とも60台をマーク。通算17アンダーパー(271ストローク)で、2位に5打差をつけて圧勝。これで母国・韓国に加え、台湾と日本のアマチュア選手権も制覇。獲るべきアマチュアのタイトルは、あとはマスターズの出場権が得られる「アジア・パシフィックアマチュア選手権」のみ。しかし、その前に韓国のプロツアー競技に勝てば、すぐにプロ転向し、その先のPGAツアー入りを目指すという。
「この子は2年前、高校1年でナショナルチームに入ってきたときから自分というものを持っていました。だから、頑固で、『好きなプロゴルファーは?』と聞いても、『いません』と言ってました」とKim監督。

この優勝によりMinsu Kimは今年の日本オープンの出場権を獲得(プロ転向の場合は資格失効)。10月、再度日本の地で、今度はトッププロを相手に力を試すことになる。そこでどんなゴルフを見せてくれるのか。楽しみにしたい。

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