Championship Reports競技報告

練習ラウンドをせずに臨んだ村上公俊がプレーオフに破れるも単独2位

何事にも準備は大切だと言われるが、人によって考え方は異なるようだ。10月29日に71歳の誕生日を迎えた村上公俊(京覧)は、本大会の開催コースである鮎滝カントリークラブを一度もラウンドしたことがなかったという。広島県在住なだけに、他の地域と比べて香川県は決して遠くはない。出場が決まってから練習ラウンドを行おうと思えば、その機会は何度もあったはずだ。にもかかわらず、ラウンドしなかったことには理由がある。

「あらかじめ情報を入れても結果に結びつかないんですよ。かえって詳しい情報を入れたことでコースが狭く感じます。“あっちに打ったらダメだよ”、“こっちは打ったらダメだよ”と」。ゴルフはメンタルが大きく左右するスポーツと言われるだけに、危険ゾーンが気になってしまうと、自分のスウィングができないケースも多々ある。逆に、村上にとってはぶっつけ本番でラウンドしたほうが、コースが広く感じるのだろう。

「飛距離が出ないかわりにあまり曲がらないんですよ。今回もフェアウェイを大きく外すことはなかったですね」。本選手権は65歳以上が出場資格となるが、60代の選手には飛距離で大きく負けてしまう。それをカバーするためにも曲げないショットを心がけてきた。最終ラウンドは風が強く、フェアウェイをとらえるのもひと苦労だったが、最後まで方向性重視のゴルフを心がけたことでスコアを大きく崩さずに済んだといえる。

そんな村上が手を焼いたのが、パッティングだった。鮎滝カントリークラブは、大きいアンジュレーションもあれば、微妙なアンジュレーションもある高速グリーンだが、タッチを合わせるのもラインを読み切るのも容易ではなかった。「あまり深く考えないようにしました。長い距離パッティングが決まる時もあれば、1.5メートルを外す時もありますからね」。結果に一喜一憂せず、淡々と楽しくラウンドするのが、村上のモットーでもある。

最終的に通算7オーバーパーでホールアウトし、東本浩二(泉南)とのプレーオフに突入する。1ホール目の1番ホール(パー4)で村上はグリーン手前からの第3打をピンそば1.5メートルに寄せる。ところが先に東本がバーディパットを決めたため、あっさりと勝負がついた。「自分がパーパットを打つ前に終わってしまいました」と苦笑いの村上。しかし、2位という結果には「大満足ですよ。全国大会に出るだけでも大変ですし、中位の成績でも十分喜べます」と笑顔を見せる。どうやら、村上に限っていえば、練習ラウンドをしなかったことは、吉と出たようだ。

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