JGAが主催するナショナルオープン競技(日本オープン、日本女子オープン、日本シニアオープン)ではTV中継に関して生じる規則問題の証拠の取り扱いについて下記の方針を採用しています。
1.基本的な方針
ゴルフゲームは人間がプレーするゲームであり、事実の決定はその現場で人間が知ることのできる情報に基づいて行われるべきです。また、このゲームの性質上、事実問題を追及するためにすべてのプレーヤーのプレーを監視し、問題があれば都度ゲームを中断し、TV映像等を再審理することはできませんし、するつもりはありません。そして、ゲームの中での規則に関するすべての決定は裁定権を有するレフェリーのみが行い、権限のない、また規則について訓練されていない第三者がその裁定に参加することを規則は認めていません。しかしながら、レフェリーは事実問題を決定する際、限られた時間の中であっても入手可能なすべての情報を集めるよう努力するべきであり、TV映像もその情報に含まれるでしょう。そして、それらの情報を証拠とすべきかどうかは下記の規則に基づいて決定されます。
2.TV映像のモニタリングによるレフェリーへの支援
放映されているTV映像は訓練されたJGAオープンレフェリーによって常に監視されています。競技中の規則に関する事実問題の決定はレフェリーが行いますが、TV映像からの有益な情報はレフェリーに提供され、その事実問題の決定を支援します。また、映像の証拠を採用するかどうかは現場のレフェリーのみが決定することができます。
3.TV映像による事実がすべて現場での決定に反映されるわけではありません。
TV映像ではプレーヤーの行動、球の動き、周辺の状況が細かく映し出され、ときにはスーパースローや、高解像度のカメラのみが捉えている事象もあり、そのことを常に、人間が裁定するゲームに反映するべきではありません。そのために、ゴルフ規則では2つのことを規定しています。
規則1.3b(2) プレーヤーの合理的な判断を受け入れる
規則が場所の決定(ニヤレストポイントやリプレースする箇所、球が横切った地点など)を求める場合、正確に決定するためにその状況下で合理的に期待されることを行っていれば、そのプレーヤーの判断はTV映像等の証拠より優先されます。例えば、球がペナルティーエリアを横切った地点を推定することは容易ではなく、プレーヤーが推定した箇所が、後でTV映像を確認すると数ヤード違うケースは多々あります。しかし、プレーヤーがその状況下で合理的な状況証拠に期待されることを行っていればプレーヤーは誤所からプレーしたことにはなりません。
規則20.2c ビデオの証拠を使用する場合に適用する「肉眼」基準
レフェリーがTV映像の証拠を採用する場合、その事実が肉眼で合理的に見ることができた情報なのかを判断します。肉眼で見ることができず、TV技術によってのみ判明した事実は証拠として採用しません。例えば、球がわずかに動いたことが人間の目では知ることができず、高解像度のTVカメラによって分かった場合、その証拠は採用されないでしょう。
4.外部からの情報提供には応じていません。
前述の通り、競技の映像は専属のレフェリーが常に確認をし、必要であれば現場のレフェリーと連絡を取り合っています。したがって、TV視聴者からの情報提供を必要としていませんし、そのことを私達は歓迎していません。
もちろん、TV視聴者、ギャラリー等からの情報が有益である場合もありますが、ゴルフ規則について訓練された人以外がレフェリーに参加することは、他のスポーツのようにゲームを一旦止める(例えば、コース上の100名を中断させる)ことができないこのゲームにとっては混乱を招きます。実際、レフェリーとして訓練されていない方が規則や関連事実について誤解していたり、TV映像だけに映っていることと、現場で起きている事実が異なっていたりすることはよくあることなのです。
私達のナショナルオープンはTV視聴者やギャラリーを含めた多くのゴルフファン、関係者の皆様のご支援によって成り立っており、このゲームに皆様がいろいろな形でご参加されることをとても嬉しく思っておりますが、ロープの中で起きているゲームの規則問題については規則20.2に規定する他には侵害されることのない裁定権と、上述いたしました方針及び2つの規則に基づいて解決されますことをご理解いただきますようお願い申し上げます。
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