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【2017年度(第59回)日本女子アマチュアゴルフ選手権 プレイバック②】

【2017年度(第59回)日本女子アマチュアゴルフ選手権 プレイバック②】

奈良県奈良市の奈良国際ゴルフ倶楽部で開催された2017年度(第59回)日本女子アマチュアゴルフ選手権。日本女史アマチュアゴルフ界の世代交代を強烈に印象づけた本選手権のプレイバック後編は、新垣が初優勝に王手をかけた第3ラウンド、大逆転劇が演じられ、その後のプラチナ世代の活躍が予見された最終ラウンドを振り返ります。

快調にスコアを伸ばしてムービングデーの第3ラウンドを迎えた単独首位の新垣比菜だったが、一転この日はスコアメイクに苦しんだ。
安定していたティーショットが左右にぶれ、「パーをセーブするのに精一杯だった」と疲れた表情を見せた新垣。前半を1バーディ・1ボギーで凌ぐと、後半11番から連続バーディで後続を突き放しにかかったが、14、17番でボギーを喫してしまう。最終ホールをバーディで締めたものの、4バーディ・3ボギーの71にとどまり、通算11アンダーパーで単独首位は堅守したものの、2位には2打差に詰め寄られて最終ラウンドを迎えることになった。
第2ラウンドを終えて、「私は、4日間連続で好スコアを出したことがない。理由はわからないけれど、どこかで足踏みをしてしまう。そういう状況になっても慌てずに受け止められるように心の準備はしている」と話していた新垣は、その言葉通り、苦戦のラウンドを1アンダーパーでしのぎきり、悲願の初優勝に王手をかけた。その新垣を追ったのは、ともに沖縄県出身で、ナショナルチームの後輩でもある佐渡山。「自分のリズムでプレーができた」と笑みを見せた佐渡山は、スタートで連続バーディを奪うなど、この日7バーディを奪取。ボギーを2つに抑えて、5つスコアを伸ばす会心のプレーで新垣と2打差の2位に順位を上げた。佐渡山を「リリ」と呼び妹のように接する新垣と、新垣を「比菜ねえね」と姉のように慕う佐渡山。ゴルフを始めた当時、同じアカデミーで練習を積んできた二人は、「この試合の最終ラウンドに最終組で一緒にプレーしよう」と話していたという。2人の思いが実現する最終ラウンドは、「リリと最終組での優勝争いを楽しみたい」という新垣が有終の美を飾るのか、「ずっと近くで見てきてすごい先輩だと思ってきた。勝てた記憶は一度もないけれど、先輩は最後のアマチュア競技になると思うので、最後ぐらい勝ちたい」と、佐渡山が成長した自分を先輩に見せることが出来るか。先輩・後輩の直接対決に注目が集まる中、この日69の好スコアをマークして新垣との差を5打から4打に縮めたのが、安田だった。
最終ラウンドに向けて攻めのプレーを見せる選手が多い中、安田は別の戦略を立てていた。「攻めのゴルフは最終ラウンドこそ必要。第3ラウンドは、スコアを崩さないように、我慢のゴルフがしたい」と目論んで1番ホールをティーオフしていった。ショットは決して不調なわけではない。その証拠に4番では1メートルのバーディチャンスを迎えた。惜しくもこのパットは決めきれなかったが、5番、7番でバーディを奪取し前半で2つスコアを伸ばすと、後半も2バーディ・1ボギーでホールアウトしてみせた。安田の言う「我慢」は、ボギーのピンチを凌ぐ守りではなく、スコアを伸ばすチャンスを逃しても、集中を切らさない攻めの我慢だ。それを成し遂げて迎える安田の最終ラウンドは、思惑通りの攻めのゴルフで、世代交代の扉を開く1日となった。

新垣と佐渡山が望んでいた日本女子アマチュアゴルフ選手権最終ラウンド最終組での優勝争い。それは、現実のものになったが、2人のプレーは思いもよらぬものになった。前日からのティーショットの不調が尾を引き、前半からスコアメイクに苦しむ新垣。その新垣を前半で佐渡山が逆転して首位に立ったが、2人のスコアは膠着状態が続いていく。その間隙を縫って優勝争いに食い込んだのが、安田だった。「最終組の2人はスコアを伸ばしてくる。自分も精一杯伸ばさないと追いつけない。そのためにもスタートでバーディを先行させたい」とティーオフした安田は、狙い通りバーディ発進を決めると前半で3つスコアを伸ばすと、10番に続き、12番から連続バーディで首位を奪取。最終18番では圧巻のイーグルフィニッシュで、この日ベストスコアの65でホールアウト。
佐渡山も最終ホールでイーグルを奪い返したが安田には3打及ばず、安田が通算14アンダーパーで逆転初優勝を果たした。安田は、「負けず嫌いで、負けて悔しくて泣いたことは何度もありますが、嬉し涙は初めてです」と表彰式で記憶にない涙が頬を伝っていた。初夏の日差しの中、優勝杯を手に弾けるような笑顔で記念撮影に応じる安田の傍らには、7位に終わった古江彩佳と11位タイの西村優菜の微笑む姿があった。

2016年、安田は各地区ゴルフ連盟強化指定選手から選考される地区対抗戦に関西ゴルフ連盟代表として、古江彩佳と西村優菜とともに出場。見事に個人優勝を果たし、チーム優勝に貢献した。翌年、勝みなみや畑岡奈紗が卒業し、世代交代が急がれていたナショナルチーム。
古江と西村が一足先にナショナルチーム入りを果たしたのに対し、安田は日本アマチュアランキングのポイントが足りず、メンバー入りを逃していた。安田は、この優勝で同年7月から晴れてナショナルチームの一員に加わり、古江と西村、吉田優利らとともにガレス・ジョーンズヘッドコーチらコーチングスタッフからスウィングメソッド、コースマネジメントを学び、一気に才能が開花し、プラチナ世代と呼ばれるようになっていく。そして、吉田優利、西村、安田で臨んだエスピリトサントトロフィー世界女子アマチュアゴルフチーム選手権では日本チーム最高順位の2位入賞、安田はアジアパシフィック女子アマでの日本選手初優勝、オーガスタナショナル女子アマ3位入賞と同世代を牽引する選手に成長し、プラチナ世代を代表する選手の一人となった。
その安田とともに切磋琢磨を続けてきた古江も女子プロゴルフツアー史上7人目のアマチュア優勝を果たし、西村と吉田も安田とともに2019年にプロテストに合格。2020年シーズンは、ルーキーとしてしのぎを削る。

2017年の日本女子アマチュアゴルフ選手権は、これからの女子ゴルフ界を担う選手、プラチナ世代が頭角を現す記憶に残る試合となった。

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