102日(木) 〜 105日(日)

チェリーヒルズゴルフクラブ キング・クィーンコース

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Championship Reports競技報告

競技報告:M.Ideshima 写真:Y.Watanabe / Y.Kawatani

9年前の忘れ物をやっと取りにくることができた。

優勝インタビューでギャラリーに向けて発した言葉がどれだけ苦しい思いをしてきたかを物語っている。

この日の堀は5バーディ・1ボギーの68という内容。小雨が降る中でスタートホールでの表情は笑顔があるものの、やはり硬かった。

「昨日の夜から緊張していました。今日はスタート時間が遅かったのに起きる時間の1時間前に目が覚めたし、あまり寝ることができませんでした」

1番ホールのティーショットは右へ。トラブルにはならなかったものの、気持ち的にも楽なパースタートではなかった。頭を過ぎるのはやはり2016年大会のことだ。

2016年の本選手権の舞台は烏山城カントリークラブ。最終ラウンドを首位と2打差の2位タイで迎えた堀はハーフターンの時点でトップに躍り出る。目まぐるしく順位が入れ替わる展開だったが流れは確かに堀にあった。ただ、命運を分けたのは17番ホール。安全策をとったのが裏目に出てボギーとしてしまう。結果的にこのボギーが響き、前の組から猛追していた当時アマチュアだった畑岡奈紗に優勝を譲る形となった。

「あの時は単純に下手だったなと思います。でも、良くも悪くもあの試合で堀琴音の名前を知ってもらったことは確かで、それはすごく嬉しいことだと思っています。その反面でいろんな人から勝てなかったことを今でも言われることがあるんです。もちろん、それだけの人が観てくれていたということですが、やっぱり辛かったですし、言われれば言われるほど苦しかったですね」

あれから9年。その間に堀は山あり谷ありの経験をしてきた。

「ボールは右斜め45度に飛んでいくし、アプローチは寄らない。パターは入らない。本当に何をやってもダメでたくさん苦しかったことがありました」

2018年には賞金ランキング114位、2019年も150位とシードを落としただけでなく、ゴルフ自体がどん底の状態だった。おそらくゴルフを辞めようと思ったこともあっただろう。そんな堀の支えになったのが今も指導を受ける森守洋コーチだ。親交の深い原江里菜の紹介で出会い、ゴルフの全てを立て直した。もちろん支えられた人は他にも数えきれないほどいる。そんな人達の気持ちに応えたい。そんな一心だったに違いない。

2021年には悲願のツアー初優勝を飾り、2022年には2勝目を飾る。ちょうどその頃に本選手権に勝つことを目標にしてもいいのではという思いが心の片隅に芽生え始めていた。

メジャー制覇を目標にすることはプロであればある意味で当然のことだが、それを簡単に口にできないほど、堀にとっては2016年大会のことがトラウマのようになっていたのだろう。

皮肉にも今回も優勝争いを演じるのはアマチュアの廣吉優梨菜。意識したくなくても意識をしないわけがない。それがスタート時の硬さに現れたのだろうが、それ以降のプレーはまさに9年をかけて苦節を乗り越えてきた堀の強さを証明する強いゴルフだった。

前の組から猛追してきた佐久間朱莉に一時はトップタイに並ばれたが、それでも動じず目の前の1打に向き合い続けた。

今週の堀は頻繁に「地に足をつける」という言葉を口にしてきた。それは周囲のプレーに惑わされることなく自分のやるべきことをやり切るだけということ。もちろんそこがゴルフにおいて最も難しいことなのだが、今週の堀はそれを見事にやり切り9年前の忘れ物を見事に取り戻すことができた。

技術的な成長はもちろんのことだが、精神的な成長を勝った堀自身が一番感じられた勝利になったに違いない。次なる目標はメジャー2勝目だ。

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