第1日は日没サスペンデッドとなった第1ラウンドと波乱の幕開けとなった本大会。アマチュアの蝉川泰果が持ち前の飛距離を武器に出色のプレーを見せた。前半で4バーディを奪った蝉川は、後半も3バーディ・1ボギーにスコアをまとめ、6アンダーパーでホールアウト。JGAナショナルチームの先輩でもある金谷拓実に2打差、小平智とチャン・キムの歴代優勝者2人に3打差をつけて単独首位に立った。2アンダーパーには、2022年シーズン賞金ランキングトップを走る比嘉一貴がつけた。

前日までと風向きが変わり、選手を惑わせたこの日のラウンド。首位と4打差の5位タイからスタートした比嘉が6バーディ・2ボギーの66をマークすると、2打差2位につけていた金谷も2つスコアを伸ばす。蝉川は、7番でボギーが先行したものの後半を2バーディ・1ボギーで凌ぎパープレーでホールアウト。通算6アンダーパーで蝉川、金谷、比嘉と新旧ナショナルチームメンバーで東北福祉大学出身選手が首位グループを形成した。3打差の3位タイにはアマチュアの杉浦悠太、2020年大会覇者のチャン・キム、嘉数光倫がつけている。

ムービングデーに躍動し混戦を抜け出したのは、蝉川。2連続バーディで幕を開けた蝉川の第3ラウンド。3、4番と連続ボギーで足踏みかと思われたが、5、7番のバーディに続き、9番（パー4）では、1オンに成功してイーグルを奪取して波に乗る。後半も3つスコアを伸ばした蝉川は7アンダーパーをマークし、通算13アンダーパーで2位の比嘉に6打の大差をつけて単独首位に立った。さらに3打差の通算4アンダーパーには杉浦、さらに2打差の4位に金谷拓実が続く。大会3勝目を狙う稲森佑貴は、通算イーブンパーで池田勇太らとともに8位タイで最終ラウンドを迎える。

蝉川は連続バーディ発進で偉業達成にひた走っているかと思われたが、4番のボギーに続き9番ではグリーン奥からのアプローチを2度ミスして、まさかのトリプルボギーを叩き前半で2つスコアを落とす。一方の比嘉は落ち着いたプレーで蝉川を追走。11番でボギーを叩いたが、13、14番の連続バーディで蝉川を脅かすが、蝉川もすぐに落ち着きを取り戻し、スコアカード通りのプレー。17番で蝉川がボギーを喫し、両者の差が2打にまで縮まって迎えた最終ホール。ガードバンカーからの3打目が逆サイドのグリーンカラーにこぼれた蝉川に対し、比嘉はパーオン。あわやプレーオフという場面が訪れたが、蝉川がラインを読み切ってパーパットをねじ込み、比嘉のバーディパットを待たずに決着。通算10アンダーパーで95年ぶりのアマチュア優勝の快挙を達成した。比嘉は2打差の2位。アマチュアの杉浦も通算4アンダーパーで長野泰雅とともに3位タイに入賞する健闘をみせ、初のローアマチュアを獲得した。