2023年度(第78回)全米女子オープンゴルフ選手権予選は29日、千葉県長生郡睦沢町の房総カントリークラブ房総ゴルフ場で116名(アマチュア40名)が出場し36ホール・ストロークプレーで行われ、7月6日からアメリカ・カリフォルニア州のペブルビーチ・ゴルフリンクスで開催される本選出場者5名が決定した。第1ラウンドを4アンダーパーで首位と2打差の5位タイで終えた岩井明愛が第2ラウンドで8バーディ・1ダブルボギーの66をマーク。通算10アンダーパーで首位通過を決めた。2打差の2位には佐藤心結、さらに1打差の3位に入った木下彩の本選出場が決定。
残りの2枠は通算6アンダーパーの4位タイとなった三ヶ島かな、脇元華、アマチュアの小宮千鶴によるプレーオフに持ち込まれた。東コース1番と2番の繰り返しで行われたプレーオフは、1ホール目にバーディを決めた脇元が通過。最後の1枠は、2ホール目でパーセーブした三ヶ島が勝ち取った。
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1日36ホール・ストロークプレーの長丁場となる本予選は台風2号と前線の影響であいにくの雨。雨中の戦いを勝ち抜きトップ通過を決めたのは岩井明愛。岩井は、西コースをプレーした第1ラウンドをバーディ発進とすると5番でもバーディ。後半は3バーディ・1ボギーにまとめて4アンダーパーをマーク。首位と2打差の5位タイと好位置につける。続く第2ラウンドは、東コースをプレーした岩井。前半3連続を含む4バーディを決めたが18番でよもやのダブルボギーを喫する。それでも後半3番のバーディで流れを掴むと、5番から連続バーディ。8番でもバーディを奪い6つスコアを伸ばす会心のプレーで、通算10アンダーパーでホールアウト。今シーズンKKT杯バンテリンレディスオープンでJLPGAツアー初優勝を果たしてからの好調なプレーをいかんなく発揮して自身初の全米女子オープン出場を首位通過で決めた。トップ通過は全く意識していなかったという岩井だが、「とりあえず通過できて良かった。妹の千怜と2人で全米女子オープンに出場できるので嬉しいです」と5月3日時点の世界ランキング75位以内ですでに出場資格を得ている千怜と姉妹での出場を決めて、笑みがこぼれた。36ホールの長丁場には、「後半は疲れてきましたが、自分のゴルフに集中して最後まで自分のゴルフをしていました」と、集中を切らさずに乗り切ったのは、流石の一言。全米女子オープン本選に向けて「今年、ホンダタイランドに出場させてもらって、さらに海外に挑戦したいという気持ちが強くなっていたので、チャンスを掴めたのは嬉しいです。出場するからには上位目指して頑張りたいです」と、目を輝かせた。
岩井に続いて2位となったのは前週のJLPGAツアー競技で2位入賞の佐藤心結。第1ラウンドを東コースの10番ホールからスタートした佐藤は、11番でスコアを伸ばすと、12番で連続バーディ。続く13番ではイーグルを決めてみせた。18番もバーディを決めて前半で5アンダーパーをマークすると、後半でも1バーディを決めて6アンダーパーをマークして単独首位に立つ。西コースをプレーした第2ラウンドは6番でこの日初ボギーを叩いたものの後半3バーディを奪う見事なカムバックで2つスコアを伸ばして通算8アンダーパーでホールアウト。首位には2ストローク及ばなかったものの見事なプレーで自身初の全米女子オープン出場を決めた。「18ホールを終えてから疲れが出て、足の裏や背中の張りを感じました。でも、先週からずっと良い流れで来ていて、今日を迎えられたので、良い結果に繋がったと思います」と先週のJLPGAツアー競技自己最高順位タイの2位入賞の好調を実感しての充実したラウンドに目を細める。昨夜の睡眠は3時間30分程度だったという佐藤は、「そういう中でこのスコアで上がれたのは上出来というか…100点をあげたいと思います」とこの厳しい戦いを勝ち抜いてさらに自信を深めたよう。全米女子オープンはもちろん、アメリカでのプレーも初めてという佐藤は、「初めてのアメリカでのプレーがペブルビーチという素晴らしいコースになって。最高の舞台で自分の持ち味の飛距離を活かして楽しみたいです」と未知なる世界に思いを馳せた。
佐藤と同じく、初めてのアメリカでのプレーがペブルビーチ・ゴルフリンクスでの全米女子オープン選手権となるのが、初めての予選会出場で3位通過を決めた木下彩。「本選がペブルビーチでの開催ということで、興味本位で行ってみたくて。キャディの方もいきたそうだったから」と屈託ない笑顔を見せる。プレー中は、「(通過には)1打か2打足りないかも」と思いつつホールを進めていたが、最終ホールで「がっついて何メートルオーバーしてもいいから、とりあえず浅めのラインで強く打ったら、クルッと回って入った」バーディで本選への切符を手に入れた。今シーズンは、7週連続で予選落ちとなかなか調子が上がってこない木下だが、「先週ぐらいからようやく。これまで入らなかったバーディパットが今日になって決まってくれたりしたので、今まで運気を貯めていたのかなと思いながらプレーしていました」と表情を崩す。試行錯誤を続けて、上り調子となりつつある木下。ペブルビーチでもその笑顔をみせてくれるか期待したい。
3人から2人の本選出場者を決めるプレーオフを勝ち抜いたのは、脇元華と三ヶ島かな。1ホール目のバーディで最初に通過を決めた脇元は「最後のパットは、絶対にショートしたくない思いで。オーバーに打つと決めて、それが入ってくれたので、めちゃくちゃ嬉しいです」と満面の笑みを見せる。「夢に見たアメリカのメジャーで、いつか挑戦してみたいと幼い頃から思っていた夢が一つ叶って。そこで、得意になってきたショットでたくさんバーディを獲って成績を残せるように準備していきたい」と、興奮を抑えきれない様子で夢の舞台への思いを語った。38ホールのプレーの末に最後の1枠に滑り込んだ三ヶ島は、「今シーズンは怪我をして、この予選会も出るか迷っていた」という状況の中にあった。日没も迫る中で決めた最後のパーパットは、「正直、見えていなかったです。神頼みではないですが、自分を信じて打って、入ってよかったです」と最後まで諦めない気持ちが現れたものだった。「初めてのときは、カットに終わって悔しい思いをしました。でも、何度でも挑戦したいと思えるくらいの場所で、また出場できることを嬉しく思います」と自身2度目の全米女子オープンの出場を決めて、疲れの中にあって笑顔をのぞかせる。「まずは予選通過。あとは上位に入って、景色やコースを楽しみながら、良い結果を残せたらいいなと思います」。2020-2021年シーズン最終戦で見せた三ヶ島の他を圧倒するスケールの大きなプレーが世界最高峰の舞台で再び見られるのか。三ヶ島のこれまでの努力が実を結ぶことを期待したい。
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