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報告:Y.Koseki 写真:Y.Watanabe / S.Osawa
2028年(横浜CC)、2020年(紫CCすみれ)に続く3度目の日本オープン制覇を狙う、「日本一曲がらない男」の異名を持つ稲森佑貴。第3ラウンドは2バーディ・3ボギーの1オーバーパー71。第1ラウンドが67、第2ラウンドが70、と徐々にスコアを落としている。それでも通算2アンダーパーは首位と1打差。優勝争いの渦中、というより依然「優勝候補の筆頭」と言っても的外れではないだろう。それほど今回の舞台である東京ゴルフ俱楽部のコースセッティングは曲げないプレーヤーに有利なのだ。
第3ラウンドを同じ組でプレーした木下稜介などは、「稲森選手があまりに曲がらないもので、メジャー独特の緊張感のあるなかで、見ているこっちはほっとして、自分を取り戻すというのじゃないですけど、いいイメージを保つことができました」と、稲森のショットの安定性に感謝の言葉を口にするほどだ。
ところが、稲森本人は、「今日は良く耐えたと思います。正直、今日は昨日より良かったパッティングに救われた感じ」と語る一方、ショットは違和感を拭えないラウンドだったという。「だんだんアライメントがずれてきているなという感じだった」。原因は緊張感? 「それもちょっとありましたね。それと、朝から少し風が吹いていたような気がしたので、警戒し過ぎて、(さっそく)2番で左に捕まっちゃったこともありました」と序盤のミスも原因のひとつと明かす。
それだけに、今日は「ずっと気を張ってきたので、後半の中盤になって頭がおかしくなってくるというか。途中から何をやってるんだろう、みたいな、混乱状態じゃないですが、そんな感じでした」と苦笑しながら振り返る。
とりわけティーショットは、警戒感を無くして慣れが出だすと何か大きなミスをやらかしそうな気がするため、ずっと気を張っていたという。さらに今日は、ホールロケーションが左右に大きく振られていたので、「セカンドでピンを狙ったらドツボにハマっちゃうホールも結構あったので、その辺りのマネジメントとかも、気を遣ってやっていました。だから、体力より気力のほうの消耗が激しいですね」としたうえで、そのために「途中で眠くなったので、“やばい、やばい”って水を飲んだり、キャディと冗談を言い合ってました」と笑う。
明日、稲森が勝利すれば日本オープン3勝目。最多勝規則である6勝の宮本留吉、5勝の尾崎将司、4勝の中嶋常幸の4勝。それに続く、3勝の小野光一と中村寅吉と肩を並べることになる。「そんな偉大な先輩の方々と名を連ねることはひとつの目標」と明言。そして、そのためにすべきゴルフは明日も変わらない。「フェアウェイキープをメインにマネジメントして、とにかく頑張るしかないです。それで、もしフェアウェイキープができない場合は、セカンドでバンカーはOK にするとか、(次善策に)スイッチをどんどん切り替える」
稲森は、そうした「我慢のゴルフ」が大好きという。「だって、パーをセーブすればいいんだから、良くないですか? それで、たまにバーディを獲ったら『やったー!』って、大喜びできるんだから」
明日の最終ラウンドは、そんなふうに大喜びする稲森が見られるか知れない。