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写真:Y.Watanabe / S.Osawa
日本オープンの戦い方を一番知っていると思われる稲森佑貴。2018年、2020年大会に続く本大会3勝目に向けてのここまでの道程は、計算通りだったのかもしれない。日本一曲がらないティーショットを武器に、ステディなゴルフで少ないチャンスをしっかりとものにする。ピンチは受け入れてダブルボギーを叩かないようにマネジメントを徹底する。その思惑通りに最終ラウンドのプレーを続けて優勝争いの一角に食い込んでいた稲森だったが、「正直、ショットの調子が朝から良くなかったので、少し不安でした」と本人にしかわからない小さなほころびを抱えてのプレーだったようだ。15番では左右に分かれるフェアウェイの左を狙ったティーショットを放ったあと珍しく手を離すシーンも見られ、このホールをボギーとした。
稲森は、僅かな違和感を許してくれないコースセッティングであることを知っているからこそ、「昨日よりも冷静にプレーが出来ていましたし、運がなかったところも少しあったので、しょうがないと。ダブルボギーだけはしないようにしました」とすべてを受け入れて、淡々とホールを進めていった。終わってみれば、通算イーブンパーで3位入賞と戴冠は逃したが、本大会も稲森佑貴ここにありというプレーを見せてくれた。
史上最年少でのナショナルオープン3勝達成という偉大な記録を目前にして「多少意識はしていましたけれどこのセッティングなので、こだわりを捨てて、自分のできることに徹していました」と語る稲森。ショットの安定性はもちろんのこと、乱れない心こそ稲森の強さでありナショナルオープンで好成績を残していく要因なのではないかと思わされた4日間だった。