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報告:M.Ideshima 写真:Y.Watanabe / S.Osawa
最後までもつれる展開に終止符を打ったのは今平周吾。
最終組の一つ前でプレーし、後続の木下稜介と並ぶ通算3アンダーパーの首位タイで最終ホールを迎えた。この日の18番ホールの難易度の高さは2番目。そんな難関ホールで20メートルものバーディパットを捩じ込んで吠えた。
「最後のパットを打つときは木下さんと並んでいることはわかっていました。ただ、バーディを狙っていたわけではなく、パーを狙いながらという感じでした。まさか入るとは思っていなかったので興奮しました」過去の9勝を振り返ってもおそらく初めて見る今平の興奮状態だったと思う。
「あの状況なら誰でも興奮するんじゃないですか?(笑)」と、照れ笑いする今平だが、自身も経験したことのない精神状態だったと振り返る。
今平は17番ホールで木下がグリーンを外していたことを認識していた。「良くてもパーだろうな」と思っていたところからのスーパーバーディで、頭には「ボギーなら優勝を逃すかもしれない」とよぎったと言う。4日間を通して初めてプレッシャーを感じた瞬間だった。ただ、その木下の歓声を上回る歓声を18番ホールで起こすことになるとはおそらく本人も予想していなかったのだろう。
埼玉県は入間市出身で地元開催の日本オープンには特別な思いがあったに違いないが、地元開催ということもあり、今週の今平の表情は常に明るかった。3日目を終えた時にも「明日は違う緊張感があると思います」と話していたが、いざ最終ラウンドの朝は思っていたよりも緊張はしていなかったのは精神的にリラックスした状態で大会に臨めていたからだ。
節目となる通算10勝目は自身初のメジャータイトル。しかも地元埼玉での優勝は格別のものとなった。
今平が目指す選手像とは年間を通して安定している選手だ。今平にとって初の日本オープンタイトルは、理想の選手像に近づいたことを証明する、今まで足らなかったピースになったに違いない。
「なによりも日本オープンで勝てたことが嬉しいです」
この言葉が全て物語っている。