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2024年大会。東京ゴルフ倶楽部の18番ホールで15メートルのバーディパットをねじ込んだ瞬間、クールなメージとは程遠い力強いガッツポーズと咆哮をあげた今平周吾。その姿は、日本オープンゴルフ選手権を制する難しさと喜びが表現される名シーンとなった。迎える2025年大会は、今平の大会連覇に期待がかかるが、男子プロゴルフツアーは20代の選手の活躍が目立つ新しい潮流が生まれている。さらにナショナルオープンを何度も経験している中堅、ベテラン勢も厳しいコースセッティングを卓越した技術で攻略してくるだろう。今大会もゴルフファンの記憶に残る大熱戦への期待が高まる(掲載選手は昨年大会上位者などによる有資格者選手になります)。
2025年シーズンの初戦で見事に優勝を飾った生源寺龍憲。2024年開幕戦での2位惜敗の雪辱を果たして初優勝を手にした生源寺は、日本プロゴルフ選手権で2位、JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品で2勝目をあげるなど、その才能を開花させた。男子ツアー9戦を終えた時点で生源寺は平均ストローク、バーディ率で1位、パーキープ率3位、平均パット5位と持ち前のショット力を軸にショートゲームも向上し、ポイントランキングでトップに立っている。前半戦の勢いのまま、ナショナルオープン初制覇を狙う。また、関西オープンゴルフ選手権で初優勝を果たした金子駆大も同世代の注目選手の一人だ。2020年にプロテストに合格した金子は、2022年の中日クラウンズ2日目に初めて首位を経験。2023年日本オープンでは自身初のトップ10内となる3位入賞と頭角を現した。昨年は平均ストローク7位とバーディ率が6位と好調で2度の2位と飛躍の年となり、迎えた今シーズンは先述の関西オープン優勝に続き、日本プロゴルフ選手権と日本ゴルフツアー選手権で3位入賞と厳しいコースセッティングの中で好成績を残している。20代では、日本プロゴルフ選手権で初優勝の清水大成、平均パットで1位の安森一貴、2023年大会で優勝争いを演じた平本世中、飛距離が魅力のサウスポー細野勇策のプレーに刮目して欲しい。さらに、今年は怪我で戦線を離脱していたものの、日本ゴルフツアー選手権で見事に復活優勝を成し遂げた蟬川泰果は、2022年大会のアマチュア優勝に続く本選手権2勝目は、一時怪我で戦線離脱したものの、日本ゴルフツアー選手権で優勝を飾り、見事な復活劇を演じている。アマチュア時代に蟬川と同じくJGAナショナルチームで活躍している杉浦悠太、米澤蓮。これからの日本ゴルフツアーを担う若駒たちが本選手権で若さあふれるパワーを見せてくれるだろう。
飛距離は、ゴルフというゲームの中で大きな武器とはなるが、それだけではナショナルオープン優勝を勝ち取ることはできない。パワーだけでなく、ここまで培ってきた技術、自分の力量を分析しコースと対峙するマネジメント力も試されるのがナショナルオープンの舞台だ。そうなると、30代、40代の選手にも大きなチャンスが出てくる。昨年大会は惜しくも2位に終わった木下稜介、誰も到達できないと思えるドライバーショットの正確性を誇る歴代優勝者の一人、稲森佑貴。考え抜いたコースマネジメントを武器に勝利を重ねてきた堀川未来夢。プロ同士でも羨むショートゲームの技術を持つ石川遼。そして、昨年大会を制した今平周吾。プロゴルファーとして充実を迎えている彼らの活躍が、ナショナルオープンをさらに盛り上げてくれるだろう。
今大会の舞台となる日光カンツリー倶楽部で日本オープンが開催されるのは2003年大会以来2度目。男体山から流れ出る大谷川沿いに展開される18ホールは、自然を活かしたフェアウェイのうねり、男体山からの微妙な傾斜が選手の距離感を惑わせる。選手たちは、正確な距離のジャッジとショットへの集中力を求められるコースだ。現在、海外でプレーする金谷拓実、中島啓太、桂川有人、平田憲聖なども凱旋帰国となれば、様々な環境でプレーしてきた経験を発揮して優勝争いに加わるかもしれない。秋麗の紅葉が美しい日光カンツリー倶楽部で、国内外で奮闘を続ける選手たちの素晴らしいプレーを堪能いただきたい。