10月16日(木) 〜 10月19日(日)
日光カンツリー倶楽部
競技メニュー
競技報告:Y.Koseki 写真:S.Osawa
午前スタートの全60選手で、アンダーパーで競技を終えたのはわずかに2人、織田信亮と岡田晃平だけだった。
ほとんどのプレーヤーがホールを進めるにつれてスコアを崩す中、2バーディ・1ボギーの71に踏みとどまれた岡田は、その要因を問われると、先週から今週にかけて練習ラウンドを3度経験できたこと。そして、そのなかで日本オープンならではの深いラフに慣れ、対策を十分に練られたことを挙げた。「練習ラウンドでは、ティーショットがフェアウェイに行っても、(そのまま打たず)ラフに入れ、グリーンに乗ったあともパッティングはまったくせず、グリーン周りを徹底的に練習しました」。ショットも、ショートアプローチも徹底してラフから試しながら、「どこのラフが浅いとか、深いとか。ラフに関する情報をしっかり集めて、抜かりないチェックができたと思います」。もちろんすべてが目論見通りではなかったが、さまざまな深さやライのラフを試すことで、肌感覚で得た情報のお陰で楽に回れていると、ここへの取り組みに自信をのぞかせる。
実際、ラフからのショットが想定外の飛び出しになったのは、ボギーとなった最終18番ホール(パー4)の第2打、右サイドの林からの一打だけだったという。そのショットは前方の木に当たり、左サイドのラフへ。そして、次の第3打はグリーン奥まで転がり、ボールは深いラフの根元の間にあったためにボギーを覚悟。そこからは狙い通りのチップショットで、4オン1パットの“ボギーセーブ”としたことに、「メンタル的には明日につながる」と納得顔。日光カンツリー倶楽部のラフは、ほぼアンダーコントロールにあるようだ。
本選手権はプロ転向の昨年こそ出場できなかったが、2021年から3年連続でプレーし、いずれも後半のラウンドに進んでいる。そのうち、JGAナショナルチームメンバーだった2022年は28位タイ、翌23年は18位でローアマチュアに輝いている。日本オープンのタフなコースセッティングが好き?との問いに岡田は「よくわかりませんが」と断ったうえで、意識して練習ラウンドにエネルギーを使っている成果かも、との答え。単にコースを経験するのではなく、毎ショット毎ショット、得た情報をフィードバックし、それをキャディと共有していることが結実しているという。
「この大会で優勝するために、ここまでのシーズンを送ってきたみたいなもの。それくらいこの大会にかけている」と力の傾注のほどを語る。そのうえ今年から優勝選手にはマスターズ出場という、多くのゴルファーにとって“垂涎の的”のご褒美が加わった。
「小さい頃から、マスターズが何なのか分からないうちから見ていた憧れの舞台です。一番印象に残っているのは、やっぱり2021年の松山(英樹)さんが優勝した大会。僕は、ちょうど(東北福祉)大学の合宿期間中だったんですが、たまたま雨でスタート時間が遅れ、そのお陰で(テレビ中継を)見ることができました。周りのみんなは、本当に泣いていました。僕も一緒に泣きたかったんですけど、スタート時間がギリギリに迫っていたので、急いでダッシュしました(笑)」と泣き顔を見せずに済んだ。
しかし、ここでそのマスターズの出場資格を獲得したとき、岡田は泣き顔を見せるかも知れない。