10月16日(木) 〜 10月19日(日)
日光カンツリー倶楽部
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競技報告:Y.Koseki 写真:Y.Watanabe / S.Osawa
リーダーボードのトップに立った清水大成の63ストローク(今大会のベストスコア)、通算8アンダーパーというこの日の圧倒的なスコアについて、明日追い上げることになった選手たちの感想を聞こう。
「8アンダーパーまで行きましたか。しょうがないですね。これはもう『ナイスプレー』と言うしかないでしょう」(桂川有人、6打差の3位タイ)
「今日の7アンダーパーというのは凄いと思いますね、さすがに。今日はアダムもすごくいいゴルフをしているように見えて、それでもアンダーで回れるかどうかの戦いをしていたのに……。すべてが良かったんでしょうね」(石川遼、8打差の11位タイ)。「アダム」というのは石川の同伴プレーヤーのアダム・スコットのことで、この日は1アンダーパーの69。一方の石川はパープレーの70だった。
「まるで異次元」とでも言いたそうなライバルたち。彼らをここまで呆然とさせた清水だが、ラウンド後、取材陣には終始にこやかなに、質問にひとつひとつ適切な答えを真摯に探りながら、そして嬉しそうにやり取りする姿が印象的だった。日本一のタイトルが目前というのに、この状況を心底楽しんでいるようだ。
「ショットが安定していたので、(パッティングと)噛み合えば5アンダーパーくらいは行けるんじゃないかと思っていましたけど、それを超えたので、今日は本当に良いプレーができたんだと思います。すごく自信になります」。その感触はスタート直後、この日一番長いバーディパットが決まった1番ホール(パー4)で得ていた。「ピン右横6メートルくらいを気持ちよく打つことができ、それで今日一日、パットのフィーリングが良くなったんじゃないかな」と明かす。
清水はもともとツアーでも屈指のパットの名手(平均パット数ランキング4位)だが、この日はライン読みが合っていて、そのライン通りに迷いなく打つことができたという。
その結果、2打先を行く首位の金子駆大を前半のうちに捉え、抜き去ったのだが、「自分がトップに立っていることは分かっていたんですが、余り考えすぎずに1打1打に集中できたかな。まだ3日目なのに、そこで守って勝てるような試合じゃないですから」と、周りのスコアや順位を気にすることはなかった。
そして、明日も「いろいろ考え過ぎず、自分のプレーをすることだけに集中します」としたうえで、「本当に(優勝を)意識するのは明日の後半からかなぁ」とちょっと苦笑い。それでも迷いなくこうしたマネジメントを口にできるのは、今年5月にツアー初優勝となったメジャー競技「日本プロゴルフ選手権」の経験があるからだろう。会見の最後に、「あのときは、最初はトップを追う立場だったんですが、中盤から追われる立場になったので、あの経験は生きると思います」とはっきり言い切った。