10月16日(木) 〜 10月19日(日)
日光カンツリー倶楽部
競技メニュー
競技報告:M.Ideshima 写真:Y.Watanabe / S.Osawa
首位とは7打差というストローク差以前に、今週の原敏之(さとし)の頭の中に優勝の二文字は存在していなかった。
前週までの賞金ランキングは54位。予選会から本選手権の出場資格を得た原にとって、1番の目標はシード権を確定させるための10位以内だった。だからこそ最終ラウンドも常にそれを念頭に戦った。
「今日はアンダーパーを目標に自分を見失わないようにプレーすることを心がけました。スタートから6番ホールまでで3バーディが取れて、そのおかげで中盤、終盤で体が硬くなるようなことはありませんでした。確かに17番ホールは少し悔やまれますが、それも含めて今日は良いプレーができたと思っています」。
今日に限ったことではなくプレー中に原はスコアボールを確認するタイプ。16番ホールを終えてトップと1打差にいることを確認した上での17番ホールのダブルボギーだったたけに心が折れそうになった。それでも最終ホールで意地のバーディを奪い返して4日間通算3アンダーパーでホールアウトした。
その段階でも原の中には優勝は意識していなかった。応援に駆けつけていた奥様と娘さんと過ごす時間によってリラックスした雰囲気で最終組を待つことができた。
変な緊張感もなく精神状態は悪くなかった。ただ、プレーオフ1ホール目でアドレスに入った瞬間、緊張感に襲われた。勝ちたい気持ちよりも、負けたくない気持ちが上回った瞬間だった。
「負けたら悔しいだろうなと今週初めて感じました」。
勝つために何が必要なのか。原は改めてこの日の惜敗で感じることができたのかもしれない。1991年生まれの34歳。21歳の時にツアープロ転向を果たしているが、試合に出られるようになったのは31歳のとき。諦めずにただひたすら上だけを目指してゴルフに取り組んできた。その努力が徐々に出始めている。今回の惜敗を糧に遅咲きの男はこれから満開の花を咲かせるはずだ。